■ 世界の段ボール増産動向
2020年9月
ドイツの製紙メーカーであるPROGROUP AG社が兼ねてより発表していた新設3号機の稼働を開始した。
PM3は中芯、テストライナーの併抄マシンで年産75万t、Voith社製の抄紙機で1日3,000t処理できるデュオ・ドラムパルパーを採用している。抄紙幅は9200mm、抄速1,600m/分のモンスターマシンでワインダシステムも完全自動化され従来の20%以上の処理量が増加。また排水循環機能も一新され年間375万リットルもの水消費を節約する。総投資額は約4億6500万ユーロとなっている。
ドイツHumbuger社の新設マシンも稼働を開始した。同マシンは工事中の火災が原因で稼働が遅れていたが、9月第一週にテスト抄紙に入っている。商用販売開始は9月末~10月初旬とし、50万㌧マシンとなるこの2号機の稼働により同社シュプレムベルク工場は85万㌧体勢となる。マシン幅7.8m、白ライナーとテストライナーの併抄マシンでValmet社及び Voith社の設備をアッセンブルしている。
9月3日、メキシコの製紙段ボール一貫メーカーであるGrupo Gondi社はメキシコのノースモントレイ市に年産40万㌧のPM7を稼働させた。同社は15の段ボール工場と6台の製紙マシンを有し、製紙の生産能力は年産65万㌧であったが、今回のPM7の稼働により年間生産量は100万㌧を超える。
Grupo Gondi社製紙ライン Grupo Gondi社段ボール工場
一方不採算からマシン閉鎖を決定した製紙企業もある。
オーストリアのMayrMelnho f社はヒルシュバンク工場にある4号機を閉鎖する。4号機は400g以上の厚物段ボール原紙を冷凍食品用に抄紙していた。生産量は年産8万tで製造コストの不採算から、同マシンを定機することを決定している。