■ 古紙輸出量は回復傾向、品質状態で日本の古紙が有利に
2018年7月31日
日本からの輸出古紙は上半期前年度比で大きく減少したが、ここにきて価格・数量ともに回復し始めている。
今年1-5月の日本古紙の輸出量は145万t、前年度対比で80.9%とマイナス19.1%、対中国向けは35.05%減の86万2千tだった。全体的な輸出数量は予想通り大幅な減少となったが1-5月の回収量自体は前年度比96.1%(848万2,453t)と大きく差はない状態だ。 輸出内訳とみると段ボールは前年度比98.1%、(中国向けは94.6%、東南アジア向け103.3%)、新聞は128.9%(中国向け212.5%、東南アジア向け34.9%)、雑誌76.4%(中国向け47.0%、東南アジア向け313.7%)、その他古紙36.0%(中国向け19.2%、東南アジア向け191.2%)となっている。
個別に見ると段ボールは大きな減少になっておらず、新聞は前年度を上回る輸出量となった。特に米国古紙が輸入禁止となった5月単月ではOCC 17万8,337t、ONP 7万4,787tと大きく増加、2品目の輸出量は前年度比151.40%と前年度を大きく上回る結果となった。また日本品の新聞、段ボール価格は中国と東南アジア向けにおいて大きな差が出てきている。
東南アジアメーカーは余剰になった北欧・米国古紙を安価に調達できる上に、中国のメーカーは米国CCIC検査は検査員不足から4週間以上待ち、品質面の懸念もあり日本品を購入している。さらに日本国内の製紙メーカーの荷止め、及び古紙購入価格の引き下げもあり、輸出価格の上昇を機に国内に滞留した古紙が一気に輸出へと回った形となった。
世界的に古紙は余剰となっているが、新基準の適用から半年、米国古紙の輸入禁止措置等を受け中国の製紙メーカーは規制内容に合致した日本の段ボール、新聞古紙や米国OCC #12-13(新段)に高値を付けているようだ。いい古紙は高く、悪い古紙は安価になるという市場原理が国単位で起こっているものと見て取れる。
一方米国では品質の悪い古紙や廃プラスチックを含めこれまで再生資源として輸出されてきた廃棄物の活用方法はおろか正常な回収にさえ支障をきたす状況となっている。
中国は2016年、世界が輸出する廃プラの半分強、約730万トンを輸入していた。日本からの輸入量は香港経由分を含め約130万トン。日本の廃プラ輸出の8割を超す。米国首都ワシントンでは今や、再生利用する資源ごみに1トン当たり75ドル(約8500円)、発電用に焼却されるごみには1トン分46ドル(約5200円)を支払って処理しており今や焼却した方がリサイクルするより安いといった現実を突きつけられている。
ミックスペーパーやミックスプラスチックは無価値同然で、下請け業者にお金を払って収集してもらっているのが現状の様だ。埋め立てゴミには容量の削減から紙とプラスチック類の分別が義務づけられているが米国のリサイクル施設の中には、プラスチック類と紙類を分別せずに、そのまま埋め立て地に送ってしまっているところもある。こういった現状も黙認せざるを得ない自治体もあり、一部の小さな自治体では、資源ごみの回収をストップしているところさえある。