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マーケットハイライト:国際古紙価格 発生減と需要期に入り回復

インド都市封鎖

  ■ マーケットハイライト:国際古紙価格 発生減と需要期に入り回復

2021年5月20日

5月中旬の古紙国際相場は一時大きく下落する局面があった。3月下旬から中国の製品在庫が増えた事による失速感で若干軟化傾向ではあったが、インドの都市封鎖が原因で欧米古紙を中心に大幅に下落した。 

インドに於いて新型肺炎が爆発的に感染拡大した事で都市封鎖が再開され、製造業は労働者不足によって稼働を停止、あるいは時短操業せざるを得ない状況に陥ったことが価格下落の要因だ。一日の平均感染者数は34万人を超え、医療崩壊から感染者の3%が死亡する状況となっている。さらに物流や港湾も機能を停止し、物資も不足している事から製紙工場の稼働率は50~60%前後まで落ち込んだ。

インドは主に欧州古紙を購入しており船足が30日以上かかるため、ロックダウン前に購入した古紙が到着し港に滞留し始めた事で一時継続購買を見合わせる動きがでたのだ。

また中国の製紙企業が3月下旬からインド産の再生パルプの購入を控えた事で、一時500㌦を超えていた再生パルプ価格も420㌦から430㌦レンジまで下落。200㌦前半まで古紙購入価格を下げなければ採算は合わない。インド側の希望価格はAOCC#11で230㌦付近となっており、サプライヤーと折り合いが合ない状況となっていた。

昨年のインド古紙輸入量は約600万㌧に達し、中国に代わる市場に成長しつつある為、古紙サプライヤーへの心理的インパクトは大きかったといえる。インド国内の物流・製造業がストップし、製紙企業も古紙の購入を見合わせた事が原因でサプライサイドに危機感が高まった様だ。

危機感を募らせた古紙サプライヤーが東南アジアへオファーを出したことで、一時300㌦を超え、高値に警戒感が出ていた欧米古紙は相場が40-50㌦前後急落した。現在のインド向けAOCC Bit価格は250-260㌦前後で、徐々に購入を再開する動きがみられる。

さらにラマダン明けのインドネシア需要が強くなってきている事、通販需要の拡大から米国内の古紙需要も好調であり、アジアに於いても成果物等の需要期に入るため割安感のでた古紙を早めに買おうとする動きもみられる。 現在はインドも徐々に購買を再開しており、アジア全体に於いても梅雨時前に購買意欲が強くなっている様に感じる。

一方日本の古紙は依然発生が少ない上に、4月末の輸出値決め後の下落であった事や、インドにはほとんど輸出されていない事もあり、欧米古紙程の影響は受けていない。

割安感のでた欧米古紙を優先させている動きが強いが、現在の相場はJOCC CIF TAIWAN $235-240 (CY20.0-20.5/kg) CIF VIETNAM $250-265 (CY20.5-21.0/kg)と10-20㌦前後の軟化に留まっている。

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