■ コンテナによる古紙物流問題:リーファーコンテナも利用
2020年11月25日
コンテナ問題は日本に於いても例外ではなく、中国国慶節前付近からコンテナが取りづらくなっていたが11月に入りすでに本船予約済みのBookingも船会社にキャンセルされるなど混乱が生じている。
特に物量が多く運賃の安い古紙に船積みは船会社から敬遠され、Booking停止の告知をする船会社も出てきている様だ。古紙の船積みには通常古紙レートが適用され破格の運賃で運べるのだが、この古紙レートの値上がりはほぼお断りレベルに達している。
特に輸出港や輸入の少ない地方港からの輸出は難しく、名古屋-台湾航路など以前は100㌦前後だった運賃が高いものは900㌦を超える水準にまで高騰、東南アジア向けは1000㌦を超えている。古紙のkg単価にすると平均2~5円ほどの運賃コスト増となっており、今後円貨での古紙輸出価格に大きく影響してくると思われる。
コンテナ不足からアジア製紙は古紙の調達ができず、ドル価でのアジア相場も上昇基調となっているが、今後もコンテナ事情は回復せずさらなる海上運賃の値上がりが予想され、将来の運賃を見越した価格での調達、或いはBooking後に見積をする等対策が必要とされる。しかし船会社からはすでにBooking積み分に於いてもFAX一枚で強制的に値上げを打ち出してくる為、本船に積むまで最終的な運賃がわからない現状に新規の古紙売り契約はとれない状況だ。
ベトナム向けは現地で海鮮食品等の輸出が増えた背景から、船会社側からリーファーコンテナ(冷凍)を古紙の運搬に使わないかとの提案がでている。日本からのベトナム向け冷凍食品の輸出はほぼない為、「空コンテナで回送するよりは」との理由から古紙レートでの運送を請け負うという。現地コンテナクリーニング費用は100㌦前後、昨今の海上運賃の値上がり分よりは安価であるが万が一破損してしまった場合の修理表はかなり高額になる様だ。
リーファーコンテナは通常コンテナに比べ床が高床式になっている上、押し棒をつかったバン詰めは傷をつけてしまうため厳禁だ。特にコンテナ奥の壁面には冷蔵設備が設置されており、ぶつけると簡単に故障してしまう。荷出、荷受両社で了承の得られる場合のみ船積みをしてみたが、船着後トラブルにならないかは不安が残る。現在はそのリーファーコンテナさえも残り少なくなっているという。船会社によれば現状の打開策として旧正月期間にアジアからの輸出が鈍化したタイミングでできる限りのコンテナを回送するとの話だ。