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米国港湾労使協定が7月で満期 交渉難航

米国港湾労使協定が7月で満期 交渉難航

米国港湾労使協定が7月で満期 交渉難航

  ■ 米国港湾労使協定が7月で満期 交渉難航

2022年6月6日

米国西海岸において太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)による労働協約が7月1日に満期を迎えるため、労使交渉が開始された。

労使交渉では一般的に福利厚生が焦点となるが、今回は港湾の自動化システムを導入するかどうかも協議される事となった。コロナ禍に米国港湾の感染者拡大や、巣ごもり需要による輸入増で港湾作業が遅滞した事は米国のみならず、世界の物流に大きな影響を及ぼした。 

労働組合側は雇用の確保を含め自動化には消極的だ。またコロナ禍で感染リスクを犯しながら週6勤務など社会に貢献してきたことをアピールしている。 

協定交渉は難航しており、満期となる7月を跨ぐと見られている。前回の労使協定交渉のあった2014年には越年交渉となり、ストライキなど荷役に影響がでたため荷主は航空輸送や東海岸シフトなどの対応を迫られた。

現在ロサンゼルス港、ロングビーチ港の13コンテナターミナル(CT)のうち、2CTで自動化が導入されているが自動化された2CTでは15―21年の間で、ILWU労働者の有給労働時間は31・5%増加し、非自動化CTの13・9%増に対して2倍以上の伸びとなった。また自律走行する電気自動車やハイブリッド車は排ガスも抑制され、労働者や周辺住民の健康面でもメリットがあったとされている。PMAは米国西岸港が年間2兆ドルの経済的価値を創出する一方で、混雑が続けば処理能力を拡大する東岸・ガルフ港に貨物が流出し、長期的な経済成長のエンジンとしての機能が弱まる可能性があると指摘する。

一方港湾労働者側は、巨大船会社がコロナ禍で10倍もの運賃で暴利を得ている上に、港湾の自動化によって雇用も奪おうとしている。また自動化には安全保障上のリスクも伴うと反論している。

しかし港湾労働者の平均年収は2500万円を超えており、全米平均賃金の3倍にも達する。さらに医療・年金制度は雇用主側が負担している。異常な好待遇に今後の経済的利点を考えた上でも自動化は不可欠な状況だ。

労使協定が決裂し満期までに妥結しなければストライキに突入し荷役に影響がでる可能可能性が高い。

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