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米中貿易戦争: 勝者はどちらに

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  ■ 米中貿易戦争: 勝者はどちらに

2019年6月30日

気になる米中貿易戦争の中国経済への影響だが、関税報復合戦による販売停滞でだけではすまない状況となっている。

米国をはじめ各国の電子メーカーが中国系企業からの資材調達を第三国に切り替え、また中国企業への部品の供給を止めるなど米政策に同調する姿勢を見せており、米国の徹底した対中国政策は深刻な影響を及ぼしている。 

一方で中国は対米報復関税を需給に合わせて段階的に設定するなど、自国の経済に与える影響が最小限になる様考慮しながら応戦している様子が見て取れる。 

昨年末まではアリババ「独身の日」による内需と古紙不足による原紙価格の高騰により中国国内のパッケージ包装資材の価格は異常なまでに高騰した。 

一時は段ボール倉庫にチェーンを掛けなければ盗難されるとまで言われた段ボールバブルも、今は各メーカー在庫が多く先行きの見えない販売不振に困惑している。 中国大手家電メーカーである格蘭仕(ギャランツ社)は、米国向け家電に対する25%の関税引き上げ影響に対処するために、段ボール包装資材メーカーに対し20%の値下げを強く要求しているという。 

値上げも激しければ価格の下げ圧力も容赦がない。 旧正月が明け本来であれば5-6月より本格稼働を始めるが、米中貿易戦争の影響で中国向け電子部品関連の需要が悪く白板や段ボールを始めとするBOXの需要が減り、また中国内向けの販売も前年度比マイナス10%ほど落ち込んでいる。 中華系製紙メーカー各社はこの時期としては異例のSDを発表し生産調整をする見込みだ。

休転

1980年代、日本経済は大きく成長、世界中で日本製品が販売され対米貿易黒字も過去最大となった。 自国の製品が売れず景気が低迷した米国内で日本製品の不買運動や労働者が日本車を壊すシーンなどをTVで見かけたが、政治的にも日本への貿易赤字修正圧力がかかり、「プラザ合意」による為替介入によって急激な円高となった。 円高により日本の輸出産業は打撃を受け、対策として日本政府が大幅な公定歩合の修正等利下げを行った事によりバブル景気へ突入。 慌てた日本政府が急に金融引き締めを行うなど間違った対処をしたためにバブルが崩壊してしまい、その後も日本経済はドル安、円高に長年苦しめられる結果となった。 

中国政府は現在の状況は当時の日米関係と酷似しており、米国の圧力に屈し日本の二の舞にならぬ様徹底して交戦すると主張している。  

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