■ 米中貿易戦争 APECでも議題に
2018年11月28日
米中貿易戦争がいつまで続くのか気になるが、先日18日パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が閉幕し、首脳宣言の採択は見送られ代わりに議長国の議長声明の発表にとどまった。
首脳宣言が見送られたのはAPECが始まって以来初めてのことで、米中の貿易戦争が過熱し、中国政府の国営企業に対する補助金の制限をWTOのルールに盛り込みたいトランプと、米国の自国第一主義・単独主義を批判した習近平、米中の対立が会合全体に影を落とした形となった。
米中すれ違いのAPEC閉幕後同日、トランプは記者団に中国側が和解案、関税引き下げなど市場開放策を提示してきた事を発表した。しかし中国側の譲歩案を一定範囲評価しつつも、ハイテク分野の成長戦略(政府からの助成金等)「中国製造2025」の抜本的な見直しは拒否している為合意には至らなかった。
今後米中両国は11月30日~12月1日にアルゼンチンで開かれるG20に合わせて会談する予定だ。 先月から米中で何らかの手打ちがなされる事が噂になっており、結果今回は合意には至らなかったが、両国が意地を張り合い世界の貿易が縮小する中で中国側が妥協案を示したことは一歩前進したと言える。
あくまで個人的意見だが、大国を自負し面子を重んじる中国が戦いの真最中で自ら妥協案を提出し歩み寄ったことの意味は大きい。提案を拒否したトランプも「中国側からの提案は非常に完成度が高い」と評価するコメントを付け加えたのはそういった中国の面子に配慮した上でのことだったのだろうか。大国通しの争いにワンサイドプレイ、一方だけの完全な勝利などはあり得ない。どこかで両国が和解、世界貿易が正常化することを期待したい。