■ マーケットハイライト:米中貿易戦争や徴用工問題。景気減退、段原紙需要も弱い。古紙価格低迷はいつまで続く?
2019年9月30日
米中貿易戦争は膠着状態となり中国の景気悪化が連日のように報道されているが、事実段ボール箱・原紙需要は非常に悪く、昨年あれほど売れていた中国向け原紙輸出も今年は引き合いすら来ていない。
第4四半期の古紙輸入ライセンス発行は10月頃交付予定との噂もあるが、第1四半期の5%前後の数量とかなり少なくなる見込みだという。
日韓関係も徴用工問題やレーダー照射事件を発端に関係が悪化、相互にホワイト国から除外する等貿易制裁合戦に発展している。 日本製品の非買運動によりクラフト紙等の原紙が売れなくなった事に加え、難処理系古紙も韓国政府による廃棄物輸入に対する規制に関する発言がなされた影響で輸出が停滞している。
東南アジア向けもインドネシア向け船積み前検査に関する最終決定が不透明な中、欧州古紙のオファーがベトナムやタイに集中、JOCC CIF 95~100㌦前後(CY8.0~8.3円)まで下落し、現在も軟調に推移している。
日本国内では冷夏の影響で箱・原紙の販売が不調となり、各製紙メーカーは8月から生産調整を行っているが原紙在庫は思う様に減っていない状況だ。
例年であれば秋需に入っているはずが、今年は国内外需要が冷え込んだ状況となっている。また10月出し中部商組価格が中国向け90㌦と相場より一段と安い価格にて応札されたことにより海外需要家からの下げ圧力が加速、JOCCが陥没価格となってしまった。今後6月初旬につけた底値OCC CIF東南アジア $85(CY7.5~8.0)を下回る可能性が高い。
しかし欧州の古紙問屋より近年中に段ボール原紙の大幅増産が予定されており、EOCCがタイトになる可能性があるとの情報が入った。
東南アジアにて今後増産予定の製紙工場は2025年までに順次稼働を開始し、中国代替えマーケットが形成されていくだろう。 輸出古紙価格はその進捗に影響されるものと予測していたが、欧州での急激な段原紙増産は今後の古紙市況回復を早める要因ともなりうる。