■ 米中貿易戦争と環境規制 19年の船積前検査機関への許可は減る見通し
2018年11月28日
11月16日に24回目、15万5,695tのライセンスが交付された。 いずれも新規ライセンス交付を受けるものではなく、建晖紙業と山鷹国際大手2社に対する追加発行のみとなっている。
中国大手製紙メーカー(玖龍社)は日本からの12月15日、港によっては20日までの船積みを条件にONP CY30円代前半、OCC28~29円と若干価格は下げたものの依然高値で購入している。 しかし玖龍社以外の大手製紙のつける価格はもう一段下の価格となっており、変わらずさほど購入意欲が強いというわけではない状況だ。
実際玖龍社も船足の短い日本古紙にこそ高値をつけているが、中国国内各地では値下げしており、天津玖龍社はOCC(A級)2,000RMB ($295) を割り込むまで購入価格を下げている。 また、中国向けUKPもリストプライスで$30/tほど値下げのアナウンスがでており、米中貿易戦争による影響と年明けの不需要期に向けさらに原料、原紙共に価格が下落している状況だ。
ライセンス更新については11月1日から来年度の申請が受付開始され、今のところ来年度使用可能なライセンスは発行されていないものの、大手製紙メーカーの中では12月中旬から下旬にかけて来年分の輸入ライセンス交付を受けるところもあるだろうとの噂が広がっている。 また、まだ正確な情報は掴めていないが、中国商品検査当局より2019年度の輸出地検査機関の許可リストが公表された。 許可リストによるとオーストラリアにて中国検査当局とは関係のない一般の検査機関が新しく許可を受けている。
しかし台湾とスペインの検査機関(CCIC)は今回の許可リストに記載がなく、両国は2019年以降中国向けに古紙の輸出ができない可能性が出てきた。時を同じくして当社にもTOCCを日本向けに輸出したい旨のオファーが来ており背景には同様の理由があるのかもしれない。その他にも一部ルールが改定され検査機関は他国の検査を請け負うことができなくなるという。
昨年は5月米国CCICがその検査資格を1ヶ月停止された際にカナダの検査機関が代理でその検査を行ったが、今回のルール改定によりそういった「代理」ができなくなる見通しだ。また、イタリアには従来検査機関がなくフランスの検査機関が代行していたが、今後イタリアからの輸出もできなくなることを意味している。