ウクライナ侵攻 黒海閉鎖でインド-東欧通商に影響 イラン経由新ルート摸索

開発が進むChabahar(チャバハル)港

  ■ ウクライナ侵攻 黒海閉鎖でインド-東欧通商に影響 イラン経由新ルート摸索

2022年3月22日

ロシアのウクライナ侵攻によって黒海が閉鎖された事で、インド-東欧やロシア(CIS)との貿易に影響がでている。

CIS諸国の中で特にウクライナを経由していたロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン等への輸出入に影響がでている。インドとCIS諸国の貿易はNew Delis発貨物だけで年間40~45憶㌦に達し、前年度比24%増と急増していた。このうちロシア向けが28.5憶㌦、ウクライナ向けは4.27憶㌦だった。近年強化してきた同地域との交易を維持する為に代替ルート輸送の模索が急がれる。

中国青島港を経由し鉄道でジョージアに運びそこからCIS諸国へ運搬する方法も摸索されているが、青島港にはすでに東欧行貨物が集中し始めており、コストも高い。 欧州経由ルートはロシア方面へ向かう貨物に対し厳しい税関検査が敷かれている。 現在CIS諸国への物流は、黒海を経由する他この中国・欧州の2ルートしかない。

インドはこの2ルート以外の物流ルートとして、イランのChabahar(チャバハル)港の活用を検討している。イランのシスタン・バロチスタン州に位置するチャバハル港はペルシャ湾の外側にあり、パキスタンを迂回してインドの西海岸から簡単にアクセスできる。
インドは中東・アフリカに於いて影響力を強める中国に対抗し、エネルギー資源の確保を含め中東との結びつきを強化してきた。2016年、インド、イラン、アフガニスタンの間で、国際南北輸送回廊(INSTC)の整備に向けた3カ国協定を結び、同港の拡張に5憶㌦を投資してきた。インド政府はChabahar-Zahedan間の鉄道開発にも関わり、チャバハル港の操業も担っている。米国も内陸部のアフガニスタンにとって同港の重要性を認め、チャバハル港プロジェクトの制裁を免除していた。

同ルートからの交易が可能になれば、物流コストは青島を経由する場合の5分の1で済み、欧米の経済制裁の影響も受けない新ルートが誕生する事となる。チャバハル港からの陸送に必要な鉄道の整備など課題は大きいが、戦争が長期化する場合イラン経由での輸送も検討する価値が大いにでてくる。

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