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「運送24年問題」 海コン輸送に深刻な懸念

「運送24年問題」 海コン輸送に深刻な懸念

「運送24年問題」 海コン輸送に深刻な懸念

  ■ 「運送24年問題」 海コン輸送に深刻な懸念

2022年10月1日

運送業界は24年4月から適用される、年間960時間を上限とする罰則付きの時間外労働規制や新たな改善基準告示への対応を迫られている。 特に、空バンピックから実入りコンテナのCY搬入までのラウンド輸送をする海コン輸送は、CY搬入時に車が集中し、労働時間の制限は大きな問題となりつつある。加えてドライバー不足や高齢化も進み、海コン業者は深刻な事業継続危機に悩まされている。

東京港、特に大井ふ頭の混雑はひどく4~6時間以上の搬入待ち渋滞は日常茶飯事だ。この渋滞待機時間を休憩時間と見なしてもらえればいいのだが、車は完全には停車しておらず少しずつ動いている。そのため労働時間にカウントされてしまい、待機中に規定時間をオーバーしてしまう問題が発生してしまう。 国へCYでの待機時間を「休息時間扱いにしてほしい」と要望しても認められなかったという。 この問題に対応するには、待機時間の交代ドライバーを確保するか、混在の予想されるコンテナヤードへの搬入を伴う仕事を断るしかない。

 時間外労働規制は「罰則付き」となっており、厳守しなければならない。渋滞時間を勘案すると輸送に使える時間は短くなり、必然的に運べるものも限られる。特に郊外、北関東エリアから東京港に持ち込む貨物は影響が大きい。また車庫のある位置にも影響を受ける。駐車場から空バンを取りに行く時間も当然労働時間にカウントされてしまうからだ。 運転時間が制限されると必然的に運賃の高い仕事のみを受けざるを得ない環境となるため、古紙の輸送は難しくなる。

運賃の安い古紙の輸送は、朝早くからバン詰めができ、他貨物の搬入時間と被らない事がメリットだった。以前は長時間労働をしても稼ぎたいドライバーが多く、古紙の輸送は早朝空き時間の副業的意味合いが強かった。しかし労働時間の制約は古紙問屋にも及んでおり、朝早くからバン詰めをする問屋は少なくなった。またドライバー側もしかり。必然的に古紙のドレーを断る業者が増えている。

24年問題以外にも運送会社を悩ませる問題が、車庫の確保だ。再開発も進み、土地保有者から立ち退きを要請され、車庫を失う運送業者もあるという。JRグループは大井ふ頭に隣接する土地をシャーシプールとして貸し出しているが、9月末を期限に立ち退きを要請している。 300~500台が利用しており、新たな車庫が確保できなければ減車を余儀なくされる業者も出てくる。  今年3月時点における海コンの運行稼働台数は3万2734台で前年比2241台減少した。2011年3月と比べると6447台減少したこととなる。特に庸車は4割近く減り、個人ドライバーによる庸車契約は減少の一途をだどっている。 またドライバーの高齢化も深刻だ。現在の最高齢海コンドライバーは81歳で、新規採用者の最高齢は71歳。50歳台以上が6割超を占める。 24年問題も重なり今後海コン輸送から撤退する業者が増加し、運賃の安い古紙輸送の担い手がいなくなる可能性も出てきている。

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