■ 安倍政権:「働き方改革」について考える
2018年10月28日
安倍政権が進める「働き方改革」というのは一体何なのだろうか。厚生労働省のHPでは「非正規雇用の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9つの分野と記載されている。
俗に言うブラック企業の改善と賃金格差を是正するもので、確かに私を始めサラリーマンにとっては当然歓迎されるものだとは思うが、実際に進められている政策のすべてが理にかなったものなのだろうか。
派遣会社で務める友人の話では派遣法の改定により「有期限雇用の5年制限」や「3年以上の契約社員正規雇用切替」「同一労働同一賃金」といった法改定は労働者にとって良いものになったがその反面、企業が派遣社員を雇用する際に雇用期間を限定せざるを得ない、あるいは望んで契約社員を選択している労働者にとっては逆に職場を転々としなければならず迷惑な側面もある。
また日雇い労働も60歳以上である、あるいは年収500万円以上の世帯主の扶養に入っていることが条件になるなど、確かに不遇な労働者を是正する目的もあったとは思うが、それを糧としてきた人たちが逆に職を失い企業側も人件費が高騰するなどの問題も出てきているのは事実だ。労働に関してもニーズがあり様々な雇用形態があるもので需要と供給、柔軟な法整備をしてほしいものだ。
日本の労働基準法が他国と違う点として外国人労働者の最低賃金と日本国民の最低賃金が同じだということがある。さらには就労ビザや永住権の取得が難しく、国家資格の取得にも制限が強い。少子高齢化、働き手不足の日本において移民を受け付けず人件費の見直しだけを強制的に行えば、収益率の低い中小企業はさらに苦しい経営を迫られ本末転倒なのではないだろうか。
これも余談だが先日日経新聞にパナソニック社が中国の火鍋店に自動配膳ロボを開発納入した記事が記載されていた。人件費の高騰は中国でも問題となっており、小人力化は大きな課題となっているがAIが急速に発達している昨今こういった最先端技術を使ったヒューマンレス化は目まぐるしい。
我々紙業界には無縁の様に思えるが、やはり各所で古紙選別や段ボールの受発注システムなどAIによる自動化は注目され始めている。 人手不足を解決する問題として期待したいが、反面私も職をAI に奪われる?と恐怖すら感じずにはいられない。