■ 世界のコンテナ船不稼働率5%以上に 多くの新造船竣工も控え海運需給に陰り
2023年1月13日
コロナ流行による港湾混雑と、巣ごもり需要による荷量の増加によって船腹及びコンテナ不足が発生し、未曽有の価格にまで高騰していた海上運賃だが、現在はウクライナ戦争によるインフレや中国の都市封鎖の影響によって荷量が減少しコロナ流行前の水準にまで下落している。 船会社は急激に運賃が下落したため稼働船舶数を減らし、特に欧米航路に於いては2割近く減便した事で、昨年末は古紙の運搬にも影響がでていた。
欧海事調査会社アルファライナーによると、2023年1月現在の不稼働コンテナ船は257隻・142万2768TEUで、前年同期の2・6倍に拡大。全世界のコンテナ積載能力に占める不稼働船の比率は前年同期の2・2%から5・5%まで上昇している事が明らかとなった。
海上運賃が急高騰した21年の世界コンテナ荷量は前年比6.4%増の2,366万TEUに達したが、22年は9月以降急減。 インフレによる物価高で消費が減退、米大手小売りが過剰在庫を背景にオーダーをキャンセルするなどした事や、上海ロックダウンなどの影響もあり、全世界貨物量に占める中国発貨物の比率が減少した。 荷量の減少に伴い、米国西岸ロサンゼルス・ロングビーチ両港のコンテナ滞船も、2022年11月にはゼロ隻となり、混雑は完全に解消した。
一方で、今後コロナ渦のコンテナ不足を背景に数多く発注された新造船が順次竣工してくることとなる。 本来22年の新造コンテナは運搬化膿規模で117.1万TEUの予定だったが、上海のロックダウンや韓国の港湾ストライキの影響を受け、141隻、79万TEUと前年比3.2%増留まった。これら竣工の遅れた本船が23年には順次竣工してくるものと思われる。 23年の新造コンテナ船数は252隻・173万2,000TEUで廃船となる本船も50隻と多いものの、200隻以上前年比4.5%の純増となる。24年の竣工数はさらに多く362隻、249万TEUの予定だ。廃船量は75隻で287隻の純増となり、23年比6.2%も増加し全世界の運搬可能能力は6057隻2813万TEUにまで膨れ上がる。一方で23年からは既存船のCO2排出規制(燃費規制)が開始され、基準値を下回る船に対してエンジン出力制限や省エネ改造によって新造船と同レベルの燃費性能達成を義務付けられる。 それに伴い、廃船となる本船数も予想よりも多くなることもありえる。