■ オミクロンの流行により船員の離職率が上昇 海運業界の混乱は2022年も継続する?
2021年12月30日
各国からの輸出量の急増とトラックドライバーの不足によって港湾作業が遅延し、本船が沖合で係留される期間が長くなっている事で、船会社は船員の確保が難しくなっている。さらにオミクロン株の流行により部分的な入国規制が再開されたことによって、高い給料を提示しても船員が仕事に戻ることを躊躇している。
International Road Transport Union (IRTU)国際道路輸送連合によると、世界的に25%以上のトラックドライバーが仕事に復帰しておらず、一部の海運業者は今後の厳しい雇用確保に警鐘を鳴らしている。
オミクロン株の流行は、国際的な長距離物流を行う人々にとって感染及び、検疫隔離のリスクとなった。契約更新に応じないドライバーも多く、退職者が後を絶たない。ルーマニアではEU行きの貨物の運搬は18時間(48km)の渋滞となるため、多くのドライバーが長距離輸送を拒んでいる。
中国では、非常に厳しい感染拡大防止措置が取られておりリスクの伴うエリアへの配送はドライバーから敬遠される傾向にある。11月4日の大連での都市封鎖では、大連市に貨物を運び込んでいたドライバーが大連から出ることが許されず、1か月以上拘束された。 物流の確保ができず一部の化学品メーカーが撤退を余儀なくされたケースもあったという。
英国の物流統計によると、2021年の第2四半期の大型トラックドライバーは19年比23%(72,000人)急減した。
海運業界も船員の職場復帰率が悪く、人員の確保が非常に難しい。シンガポール籍の船会社によると、外航船に乗船する船員で11月に契約が満了となった船員のうち、契約を更新したのは5%未満だった。さらに約20%(約1000人)の船員が契約を更新する事に躊躇しているという。
港湾作業、検疫隔離やコンテナ不足に加え人員の確保が難しくなっている事から、海上輸送網の混乱は最低でも後1年以上継続する事が予測されている。