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台湾で段ボール需要が好調、段ボール不足に三大製紙企業 設備投資を加速

正隆

  ■ 台湾で段ボール需要が好調、段ボール不足に三大製紙企業新設備投資を加速

2021年3月21日

台湾では古紙不足から原紙不足が発生し、新型肺炎による通販需要の増加も相まって段ボール不足が深刻化している。箱の納品は平均で7日から10日ほど必要で段ボール企業は高稼働状態が続く。原紙価格の高騰も重なり台湾では3月から段ボール箱の価格が前月比15%~20%上昇した。

台湾商工会議所の理事長は9日、労務局に労働者の労働時間の延長を認める様書簡を郵送した。台湾では労働基準法上3か月で138時間以上の残業は法律で禁止されている。しかし、急な人の雇用は難しく1カ月の残業可能時間を54時間に引き上げる事で、段ボール不足に対応しようというものだ。肺炎流行当初マスクが不足した際に取られた緊急的な規制緩和措置を今回も認めるべきだとし、またコンテナ不足、古紙不足にも対応すべく国内古紙の回収システムを見直す必要があると訴えた。

2020年の台湾国内、紙・板紙生産量は436万㌧、工業用紙の生産量は355万㌧、輸出量133万㌧で12年ぶりの高水準となった。 今後数年間はこの高需要が維持される事は確実視され、台湾各段ボール企業は各社製造能力を拡張すべく投資を発表している。 20年の台湾島内の段ボール生産の能力は23億㎡/年で、前年の21億㎡から約10%増加した。米中貿易戦争の影響による脱中国振替需要は堅調で、新型肺炎による通信販売の拡大が需要を後押ししている。

 永豐餘

永豐餘社は3月8日約326憶NTD(1200億円)を投じ新屋工場に3機のマシンを増設することを発表した。同工場は5,000~8000程度の㌧程度の生産能力だが、5万㌧ほど製造能力が増強される。 増産した原紙は(16%)を輸出に回し残りは国内に販売する予定だ。 

同社は台湾に製紙工場1か所、紙器工場5か所で年産72万㌧の原紙と5.28憶㎡の段ボールを製造しているが、今後2-3年間で2~3割ほど段ボールの製造能力を増強する計画だ。またベトナムには6か所の段ボール工場があり、6憶㎡の生産能力がある。段ボール工場一か所につき約3000万㌦(約31億円)、製紙1工場につき2億㌦(約220億円)の投資が必要となる為銀行への融資枠を含め資金の調達に動いている。

 栄成紙業

栄成社は今後3年間で台湾国内に70憶NTD投資し、神岡工場と雲林工場を統合。2台のコルゲーターを増設することで年間総生産量は1憶8000万㎡増加する。また二林工場に新製紙マシンを導入し、20万㌧の原紙の製造能力が拡張され総生産量は85万㌧となる。

 正隆紙業

正隆は燕巣工場に20.8憶NTD投資し、生産能力を増強する。同工場の生産能力は1.8憶㎡増加し今年5月の稼働を開始する予定だ。 また同社は大園工場の製紙マシン1号機を白ライナーに改造した。9憶NTDを投資し年産処理能力6万6000tの漂白古紙設備(DIP)も導入する。

さらに各社海外への投資も積極的に行っており、栄成社は中国湖北省、永豐餘は揚州市に、正隆はベトナムに新マシンを増設し、今後の台湾製紙企業の増産計画は100万㌧を超える。

  台湾国内 既存能力 2021年増設
正隆 段原紙 168万㌧ 紙器 7.92億㎡ 紙器 1.8億㎡
永豐餘 段原紙 75万㌧ 紙器 5.28憶㎡ 
栄成 段原紙 65万㌧ 紙器 3.6億㎡ 原紙20万㌧ 紙器1.6憶㎡
     ベトナム 既存能力              増設
正隆段原紙 30万㌧ 紙器 4.3億㎡2号機年産40万t21年稼働 3号機30万㌧22年第三四半期 紙器ハイホン2工場 2.4億㎡
永豐餘紙器6工場 5.2憶㎡原紙55万㌧ 22年投資
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