■ インドネシア向け古紙船積前検査の強化
2019年6月25日
インドネシアの政府指定検査機関であるKSO(Kar ja Sama Operasi Sucofindo-Surveyor Indonesia)から6月1日より従来10%の船積み前検査を100%にする旨通達があった。
日本国内での船積前検査はOMIC(海外貨物検査㈱)が代理で行っているが、各コンテナー最低2ベールを開梱、禁忌品の混入率は0.5%以下とし、水濡れや分別状況を検査する。 検査実施後はOMIC支給のシールを添付しバン詰め時のコンテナ及び貨物の写真を提出する事としている。
今回の規制強化により従来バン詰め初日のみで事足りていた検査が、全量検査となることで検査に要する期間が長くなる。 その検査費用も3日目以降は5万円/日と追加料金が発生する等、大きなコストアップとなる様だ。 2ベール開梱の検査は実務上現実的ではない為、ベール梱包する前のバラ古紙写真を撮影提出することで対応するとの事だが、米国ISRIでは禁忌品の混入は品種により1~2%で設定しており、全量検査により0.5%の規制を厳格に実施すると日本品以外の世界中の古紙が不適合となるため、困惑の声が上がっている。
インドネシアでは2016年5月から廃棄物原料の輸入に於いて「危険・有害でない廃棄物リスト」にリストアップされている物のみ輸入可となる様規制が入り、古紙もそのリストに記載されている。
また輸入者は非危険・有毒廃棄物輸入承認を得た特定製造業者認定(API)を取得した製造業者に限定される。 しかし諸外国からの違法な廃棄物の輸入摘発は後を絶たず、先日古紙として輸入申告されたコンテナに使用済みオムツやプラスチックごみが入っていることが税関検査で発覚し、5コンテナを米国へシップバックした。
フィリピンやマレーシアでも輸入したプラスチックごみをカナダへシップバックする事案が発生しており、今後も規制が強化される方向で進んでいくと思われる。 一方で中国の始めたCCIC船積み前検査は高額な検査料を輸出者に課し、ある意味輸出関税の様な収入源ともなった。
もちろん、有害な廃棄物を途上国に遺棄する悪徳業者が後を絶たない事も問題ではあるが、高額な検査料を請求する理由には環境保護というお題目の中、財政に困窮する途上国がこの仕組みに目を付けた背景もあるのではないだろうか。
<インドネシア向け船積前検査変更内容>
- 禁忌品0.5%以下
- 全コンテナの検査
- 2ベールの開梱検査(梱包前写真可)
- 3日目以降の検査料金追加 \50,000/日
- 検査員の残業代 \5,000/時間
- 休日検査料金 \65,000/日
- 検査キャンセル費用 \50,000/日