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株価、為替が乱高下

  ■ 株価、為替が乱高下

2020年3月

新型肺炎の感染拡大によって経済への影響が懸念され株価、為替共に連日乱高下している。 米国FRBが景気対策として二度にわたる政策金利緊急利下げ、米国の金利は0~0.2%となり各国政府も利下げや財政出動、金融緩和により景気刺激策を打ち出している。

通常日米の金利差が無くなればドル保有の必要性は薄れ、かつ有事には安定通貨である円が買われる。 過去にもリーマンショック後は80円代まで円高が進みアベノミクスで円安政策がとられるまでは数年間100円以下の超円高が続いた。今回も3月3日、一回目の利下げ発表後急激に円高が進み一時101円/USD付近まで高騰した。 

当然90円代まで突入すると覚悟を決めていたのだが、その後突然111円まで円は急降下。当社の業務は貿易がメインであるため為替には注意を払い都度為替予約を実行しているのだが、全く何が起こっているのかわからなかった。 

数日で10円前後の乱高下を繰り返し振り回された商社の方やFXトレーダーも多いかと思う。 3月30 日現在若干相場は揺れ戻し107~108円付近を行き来しているがこのタイミングで円安に振れるのか。有事の円買いとは異なった投資家心理が生まれているのではないか。 日本のGDPこそ世界第三位とはいえ、一人当たりGDPは27位、もはや日本が経済大国であることは過去の話で日本の経済力は弱まっている。日本の経済力が弱ければ日本円自体にそんな強さはないはずなのである。 

ましてやこの超低金利が長期的に続いており、赤字国債も1000兆円をかかえる国である。有事に円が買われるのは、戦争をしない平和憲法と、バブル後アメリカからの円安に対する圧力と日本政府が米国政府の顔色を窺い為替介入や円安政策を取りにくいこと、基軸通貨である絶対流通量が多く恣意的に変動させづらいという側面から安心通貨(高止まりしやすい)と見られているからではないだろうか。

世界の基軸信用通貨は3つ、EDY(Euro,Dollar,Yen,)である。 その中でもドルの世界流通量は圧倒的で43.8%、円は10.8%に過ぎない。貿易や商取引はやはり米ドルで行われることが圧倒的に多い。また米国は世界一の軍事大国であり世界一のGDPを誇る経済大国でもある。本当に深刻な有事には利用頻度の高いドルが強いことは自然なことだ。 

様々の方法で調べたところ今回短期的に円安(ドル高)に進んだ理由にはNYダウが大幅に下落した事が関係しているそうだ。 レバレッジ(証拠金取引)を行っている投資家が、ダウ株価の暴落によりロスカットの危険性が発生し大量の追加証拠金(追証)が必要となりドルを購入していること、底値にて買い戻しをする為に手持ちの現金比率を高めている事が背景にあるそうだ。 

不景気時に資金の回避先になると言われている金価格でさえ現金の必要性が高まり一時15%以上値下がりしている。 

直近はダウ株価が若干戻したと同時に為替は円高に戻り始めており、最安値から20%の上昇に追証の必要性は減退したのかもしれない。有事の際は心理的マインドで為替は変動するが、実際の通貨需給も影響する。

例を挙げると東日本大震災の時は日本の大有事にも関わらず円高に進んだ背景には、 海外の損害保険会社が日本に多額の保険金を支払うために円を購入したともいわれている。

逆にコロナが収束に向かい、株価が回復を始めるとドル現金の必要性が減退し各国のゼロ金利政策が故に急激な円高に進む可能性も否定できない。10円単位の円高は現在の古紙相場を古紙屋店頭で1.5~2.0円/kg押し下げる為、仮に為替が90円になれば3~4円下がる計算となる。

現在はまだ輸出古紙価格は高止まりしているが、今後経済の減退に伴い古紙需要が低下し為替も円高に振れた場合、相乗効果で価格が下落する可能性がある。

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