■ アジア各国で非常事態宣言、感染拡大により古紙高値も先行き不安
2020年3月
古紙原料の「無い無い」づくしの悪化による古紙価格の高止まりは続いているものの、新型肺炎による世界経済の低迷と、各国のロックダウン(封鎖)による物流のストップは古紙需給をどこかのタイミングで一気に狂わせる可能性を孕んでいる。
マレーシアは18日以降イベント・集会の禁止、学校・事業の閉鎖、入国の制限を始めた。 税関の審査も制限され医療品や食料品が優先される為、マレーシアのユーザーからは出荷量の調整や船積みの後ろ倒し依頼が来ている。
タイでは26日に非常事態宣言がなされ、ミャンマー・ラオス・カンボジア・マレーシアと接する陸路国境を原則封鎖した。
インドは25日から3週間全土を封鎖し国民に外出を控えるように指示をだしている。
まだ感染者数の少ない東南アジア各国の政府が過剰に反応し、すでに爆発的流行が始まっている欧州各国と同等の措置を取り始めている背景には、感染者が急激に増えた場合、それに対応できる医療体制が十分でないということがある。
中国からの振替需要に沸くベトナムと台湾だが、今の所ロックダウンなどの措置は予定しておらず、規制を行っている国も古紙の主な出荷先では無いため今のところ古紙輸出に大きな影響はでていない。
しかし現状の輸出契約は日本国内の発生減とコンテナ不足、古紙問屋の危機感から高値の内に捌きたい心情が重なり4月以降の出荷が主軸となっているが、4月その両国がロックダウンなく稼働している保証もない。 現状JOCCを逃がせる先は限られており、特需的な需給によって高騰した価格はいつ崩れてもおかしくない状況だ。