■ 韓国 尿素不足で物流費高騰 段ボール配送と古紙回収にも影響
2021年11月12日
中国が豪州との貿易紛争で石炭不足に陥っており、石炭を原料とする尿素の輸出を制限したことで、韓国では深刻な尿素不足が発生している。
韓国は尿素のほぼ全量を輸入に依存しており、その内約70%を中国から購入している。
尿素はディーゼル社の排ガスを浄化するために使用されているが、韓国はディーゼル車の普及率が高く、尿素水を必要とする車両は400万台に達する。 特に走行距離が長い大型車は平均600~700kmの走行ごとに約10リットルの尿素水を使用し、尿素水が不足すると出力が落ちたり、始動そのものが出来なくなったりする車種もある。
韓国国内の尿素水の在庫は1カ月分程度しかなく、中国がこのまま輸出制限を解除しない場合、あらゆる物流が麻痺し、生産活動に大きな影響が出る恐れがある。
尿素不足は段ボール原紙の配送や古紙・廃棄物の回収にも影響がでる可能性が高い。すでに原油価格の上昇も相まって物流費は大きく値上がりしており、今年初旬の京畿道安山(アンサン)から大邱(テグ)まで古紙を輸送する運賃は45万ウォン(2.5円/kg)だったが、11月は75万ウォンまで高騰している。
古紙の回収や段ボールシートの輸送は主にディーゼル車を使用しており、韓国国内の尿素が尽きた場合、古紙の回収は実質不可能となる。
**12月10日更新
韓国産業通商資源部は12月7日、インドネシアと今後3年間、月1万トンの産業用尿素水の物量導入のための了解覚書を締結したと発表した。
インドネシアから輸入される産業用の尿素水には車両用も含まれる。韓国の産業用尿素水の輸入量が年間約37万トン(車両用尿素は8万トン)に達し尿素不足問題は一旦回避できそうだ。