■ 韓国新聞紙輸出 インド向けは一服?
ウクライナ戦争によってロシア産新聞紙や、新聞紙原料となる木材チップ輸出が滞った事で世界の新聞紙需給はタイトな状況となった。特にインドは新聞紙の輸入をロシアに依存しており、紙不足から韓国新聞メーカーへ高値オファーを出した事で、原料となる日本の新聞古紙価格も高騰した。 韓国へ新聞紙オファーが集中した背景には、韓国は本来新聞紙輸出国で、2016年には年間80万㌧近くの新聞紙を輸出しており、新聞メーカーが多い事がある。
韓国の新聞紙輸出量は世界的新聞需要の減退によって輸出量は年々減少。新型肺炎の流行や新大洋紙業の火事によって一部の新聞マシンを段原紙に転抄するなど生産能力の縮小により2021年の新聞紙輸出量は8万㌧にまで縮小していた。 そこへ受注が殺到しウクライナ侵攻後3~6月までの4か月間で4万3千㌧もの新聞紙を輸出した。
しかしここにきてインド向け新聞紙需要は一服しつつある様だ。 各船会社はロシア発着のサービスを停止し、西側政府の打ち出す制裁措置に同調しているが、ロシア、イラン、インド、中国、トルコなどの船会社は迂回ルートを新設するなど物流網は再構築されつつある。 またロシア産貨物の中には一度陸路で中国まで運び、中国の港から船積みするケースもある様だ。
韓国の通関統計によると、インド向け新聞紙輸出量は3月以降急増、5月には2,387㌧が輸出された。 輸出総量も今年1月に4,500㌧程度だったが5月には9,900㌧まで増加している。 しかし6月のインド向けは960㌧と6割近く急減した。 輸出総量は1万1000㌧と引き続き高い水準にあるものの、前年6月の輸出量対比ではほぼ同量の水準である上、ケニアなどアフリカ向け輸出が増加している。 インド向け新聞紙輸出平均価格は800~900㌦だが、ケニア向けは650~700㌦前後となっており、海上運賃も高い。オーストラリア向けも770㌦前後に留まっている。
古紙が完全に輸入禁止となった中国向けは今後も安定して輸出される事が予想されるが、価格も580㌦前後とウクライナ戦争前と価格はほぼ変わっていない。 インド向け受注が一服すればおのずと新聞古紙価格も5~10円前後軟化するのではないだろうか。 7月に入りPAPER KOREAは十分な古紙が手当できたとして購買を一旦ストップしている。 現在の韓国向け新聞輸出価格は300~310㌦(CY38-40円)と、価格こそ大きく崩していないものの、その他製紙企業も購買量を減らすアナウンスをしている。