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古紙不足で輸出価格急高騰 3年ぶり高値に

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  ■ 古紙不足で輸出価格急高騰 3年ぶり高値に

古紙価格が急激に高騰している。4月に一時50㌦以上下落した欧米古紙も、5月には中国の原紙需要の回復とインドが古紙の購入を再開した事がきっかけで価格が回復基調になっていた。 

米国では経済回復から輸入品が増え、アジア発北米向け荷動きは前年同期比5割増となっている。港湾の混雑が解決しない事で北米-東南アジア航路のフレートが上昇した事もAOCC上昇の要因となった。 さらに米国の通販需要の拡大は米国内でのテストライナーの需要を押し上げ古紙の国内消費が増えている事に加え、通販で消費した古紙は家庭ごみとして発生し、上質な段ボール古紙の回収量が減っている事で供給が足りていない。

また中国メーカーは再生パルプ用にAOCCの調達を強化している為、特に米国古紙を主軸に購入していた韓国・台湾からのJOCCへの引き合いが強まった。 

5月末から6月中盤までに40-50㌦ほど価格が上昇し、円安や日本からの輸出海上運賃が軟化傾向にある事から円貨ベースの古紙輸出価格は急高騰している。東南アジアでも300㌦を超える価格帯が散見され、日本も発生が少ない事が価格の上昇を手伝った。

現在の古紙相場はJOCC CIF VIETNAM $295-305(CY25.5-26.0/ kg) CIF TAIWAN $275-280 (CY26.5-27.0/kg)、CIF INDNESIA $310-315(CY26.5-27.5/kg)まで上昇している。

 東南アジアでは古紙価格の上昇によって段原紙価格も再度上げ基調となっており、特に供給がタイトな中芯で10~30㌦ほど値上げをアナウンスしているメーカーもある。

しかし変異株の新型肺炎が流行している事や海上運賃が高止まりしている事から、需要期に入っても原紙輸出量はさほど増加していない。段ボールメーカーの原紙在庫も多い上に、中国のコンバーターも積極的に輸入紙を買う様子がない事から、急上昇した古紙価格をすぐに原紙に添加するのは難しいと思われる。 

中国の段原紙価格は5月以降通販「6.18」セール需要から回復傾向にあったが、現在はセールも終わり需要は小康状態となっている。 今年の6.18中国通信販売セールは大活況だった様でセールの開始された6月1日から6月18日までの売上高は3056億元(5兆4396億円)を超えた。下半期の宅配件数は約400億件で「11.11」独身の日が大活況となった2017年の通年規模となっており、1日の平均荷量は5億件を超えている。 

中国はいち早く新型肺炎の流行から回復し、昨年のGDPも+2.3%のプラス成長だった。一人勝ち状態の中国は今年も高い経済成長率になると見られ、中国の通販市場はまだまだ拡大が続いている。

 しかし6月に入りセールが始まると段ボール企業の稼働率は70~80%と通販向け包装需要は落ち着きを見せた。環境負荷低減投資や原材料高などのコスト増から一部のメーカーが再度値上げを打ち出しているものの、市場価格は膠着状態となっている。 

また世界各国で過度なインフレに対する警戒感がでており、中国政府も先物市場など投機的な動きを規制する発表をした事でパルプ先物価格が下落した。ロシアに於いても製紙企業に独占禁止法などの審査が入る様だ。 古紙価格は過剰に上昇しているが、各国に利上げの示唆や物価上昇に対する懸念がでている上、変異種の新型肺炎が再流行を始めており製品価格をこれ以上上げる事は難しくなりつつある。

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