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パルプ価格高騰 需給と原料不足

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  ■ パルプ価格高騰 需給と原料不足

2021年2月26日                                                         

年末けから世界のパルプ価格が上昇しているが、2月から中国向けリストプライスがさらに大幅値上げとなった。 BHK,UKPを含むすべての品種で値上げとなり、原料価格の高騰に伴い中国の食品用包装紙は平均13.2%の値上げ、家庭紙関連は3.8%上昇している。 

世界的需給のひっ迫から昨年11月の世界の針葉樹パルプ輸出量は前月比5.2%減少し、中国向けは9.6%減少している。またスウェーデンのパルプメーカーであるRottneros社は2月1日からアジア向けのBCTMPの価格を$75㌦値上げする事を発表した。 

中国では「二重禁止」(古紙輸入とプラスチック包装)によってパルプ需要が高まっており、2020年のUKP輸入量は111万tで環境規制が始まった‘17年比46万㌧増となっている。 

世界のUKP外販市場が220万㌧規模である事を考えるととんでもない数字であり、2月の中国UKPリストプライスは700㌦を超える水準まで高騰している。 

さらに3月分のリストプライスは70-80㌦アップが発表されており、’17年に近い相場感となってきた。 特に北米やチリからのパルプ輸入が多い山西省では影響が大きい。

山西省では今後中小新興企業による段原紙マシンの増設が多数発表されており、自製パルプの有無が企業の収益を大きく左右すると地元新聞では報じられている。 

パルプ価格の上昇には古紙が輸入禁止となる中国での需要増の影響も大きいが、原料となるウッドチップ価格が上昇している事も要因となっている。

新型肺炎の流行により伐採量が減少したこと、住宅着工件数が減少した事に加え、カナダからの国境を超える物流に支障が出ている事で北米の木材価格は5-8%上昇した。 

wood tip

アメリカ森林紙協会(AF&PA)に発表によると、12月の紙・板紙総生産量は前年比4%増加した。米国内での段原紙消費も好調で段原紙の輸出量は減少したが、主要メーカーの在庫量は前年度同期比3000t減少している。新型肺炎の流行により通信販売が堅調で、食料品や家具等の販売が好調だという。

一方で印刷用紙の消費量は-22%減となった。輸出向けも22%減少し、通年で生産量が9%減少した。 世界の繊維消費量の内、印刷用紙用途は27%、生活用紙45%、特殊紙16%、包装用途は9%に留まっている。中国国内は生活用紙9%、印刷用紙用途23.22%、板紙包装資材用途は45%と包装資材用途の繊維使用率が大きい。

中国では家庭紙、特にトイレットやティッシュの増産が相次ぐが、昨今の白物パルプの価格上昇は世界の需給状況から見ても過剰ではないかと感じている。包装需要用途のUKP価格は$650~700㌦レンジが妥当ではないだろうか。

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