■ 新聞古紙価格高騰 古紙不足と新聞紙価格高騰が背景に
2022年5月28日
新聞古紙は韓国向けCIF 300㌦に迫る勢いで、円安も重なりCY価格は35円近くまで高騰している。 韓国が日本の新聞古紙に異常な価格を付ける背景には、米国からの新聞古紙輸出量が減少している影響が大きい。
韓国は新聞古紙輸入の内約7割以上を米国及び日本からの輸入に依存していたが、米国からの輸出量は21年に108万㌧と17年比で1/4程の数量にまで減少した。 また米国新聞古紙はチラシや雑紙混入率が高く品質が悪いため、韓国はその輸入の殆どを日本からの輸入に切り替えている様だ。 日本の限られた新聞古紙を10社程の韓国新聞メーカーが取り合いをしており、そこへ急激な円安が重なった事であっという間に30円を超えていった。
また世界的に新聞紙価格が上昇している事も大きな要因となっている。 新型肺炎の流行初期、スポーツ新聞やフリーペーパー需要の減退、テレワークの浸透によって新聞需要が大きく減退した事で、ロシアやカナダ、オーストラリアなど世界中で新聞マシンの停機、段原紙への転抄が進んだ。
インドに於いても国内の新聞メーカーは新型肺炎流行初期の不需要期によって淘汰され、125社あった新聞紙メーカーは現在46社まで減少している。そこへ肺炎が終息した事で需要が回復し、今度は圧倒的な供給不足に陥っている。
また古紙が輸入禁止となった中国の新聞生産量が縮小し、今や中国は新聞原紙を輸入に依存する様になった。21年の中国国内の新聞原紙生産量は90万㌧と古紙規制が始まった17年比36.1%まで減少している。 さらに需給を悪化させているのはウクライナ戦争だ。 中国は17年以降新聞紙の輸入量が急増し、2021年は年間70万㌧を輸入した。インドは150万㌧を輸入しており、その内中国は35万㌧を、インドは21万㌧をロシアからの輸入に依存していた。 その他の輸入元である欧州に於いても新聞紙の原料となるBCTMPや木材チップはロシアからの輸入だった。特にフィンランドは新聞輸入量の20%をロシアに依存していた為、同国に於いても新聞紙不足は深刻な問題となっている。 様々な要因によって世界的新聞原紙不足に拍車がかかった状態でインド向け新聞紙価格はCIF 1000㌦を超え20年上半期の2.5倍の価格になっている。
現在の韓国新聞原紙価格はFOB KOREA 700~750㌦で昨年対比3割以上上昇しており、不足している新聞古紙に300㌦もの価格をつけても何ら不思議ではない。