米中貿易戦争で原紙販売不振、ライセンスも少なく輸出価格低迷。

  ■ 米中貿易戦争で原紙販売不振、ライセンスも少なく輸出価格低迷。

2019年4月29日

 4月最終週になり、一旦底値を打ったかのように見えた輸出古紙市況に再度陰りが見え始めている。 4月14-15日に行われた全国港湾ストの影響でドレーが確保できず輸出が難航したことに加え、GWの大型連休が控えており港湾は大混乱となっている。また発表された第2四半期の中国輸入ライセンスは予想通り少なく244万tであった。  

未解決の米中貿易戦争の影響で中国国内の紙の需要も悪く原紙在庫も100万tに近づく勢いだ。中国国内の原紙価格こそ今のところ大幅な値崩れはないが、古紙調達価格は軟調下落傾向、東南アジアメーカーは失った中国マーケットに代わる原紙販売先を求め徐々に価格を崩し始めている。 

1-3月は旧正月もあり各社SDにより販売不調分を調整したが、4月以降本格稼働に準じた販売攻勢にとって米中貿易戦争による中国景気の停滞は最大の足枷となっている。

中国向け古紙輸出の大幅な減少は当然ながら世界的古紙余剰感を招き、東南アジアの製紙メーカーへオファーが殺到している様だ。 特に今年から中国向け輸出ができないイタリア古紙は東南アジアへ安価でオファーされており今尚下落している。 

当社正隆ベトナム工場も4月初旬に古紙輸入ライセンスを取得、資材の調達を開始した。 苦労して入手した環境許可故に品質の良い日本品を調達したいが本来中芯専抄マシン、イタリアの2/98 EOCCでさえ130ドルを切る状況では日本品の品質優位性を主張できずとても太刀打ちできない。 当社以外の既設製紙メーカーならなおさらの事だろう。 

  一方日本国内の板紙在庫も増加傾向にあり、3月末在庫は再び50万tを超える高い水準となっている。中国の景気が減退したことにより原紙輸出も低迷、またGWと4月からのケースの値上げに伴いフル稼働させ仮需に備えたが予想より需要が弱かったことが原因だ。 遅れて需要が盛り返しているとの話も聞くが、現時点での原紙在庫と余剰な古紙在庫状況を加味して5月以降も古紙荷止めや受入数量カットを計画している工場が多いとのこと。 

さらに関東大手製紙メーカーはGW大型連休期間中休転する予定としており、中部エリアでもSDをアナウンスしているメーカーもある。 6月は九州にて休転、7月には岳南排水により富士エリアの荷受けが止まる為今後2~3か月国内の古紙需要は軟調になることが予想される。 

2-3月の古紙発生が予想より少なく、輸出価格は低迷したものの古紙在庫の荷回しはなんとかできていた。 4月に入り各古紙問屋の繰り越し在庫、発生量も増えてきたところにさらに全国で港湾スト、中部エリアメーカーの火事やマシントラブルも相次ぎ古紙の荷捌きに対する危機感が強くなってきている。 GW明け以降の古紙相場は再度1月の様なパニックに陥る可能性があるのではないだろうか。   

関東輸出組合が終わった後に当社も5月出し輸出価格の見積りを問屋へ出したところ、価格に関わらず輸出オファーが殺到しあっという間に契約残を使い果たしてしまった。 中華系メーカーやブローカーが購買を控えているとの事だ。 追加の契約を正隆社含め東南アジアの各メーカーへ打診しているが各社下落する古紙相場に様子見、全く契約が取れない状況となっている。4月末現在JOCC$125-120レンジ(CY11-12円)でのオファーに各社難色を示している現状だ。 

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