■ 欧州 原燃料価格の高騰に大幅な紙値上げ 一部操業停止も
2022年3月17日
ロシアのウクライナ侵攻を受け、原燃料価格が高騰した事で欧米では紙板紙の大幅な値上げが相次いでいる。イタリアでは一部の製紙企業に於いて操業停止の発表もでている。
スウェーデンに本社を置くSCA社は欧州地域において販売するクラフトライナー及び白ライナーの価格を100€値上げする事を発表した。日本円㌔単価に換算すると約13円と大幅な値上げとなり、4月1日発注分から適用される。 また同社は印刷用紙を含むすべての製品に於いて4月以降エネルギーサーチャージを課す。 サーチャージ価格はトン当たり105€で、欧州域内だけでなく中東・アフリカ向けの輸出原紙に於いても徴収される。米国内で販売する同様の製品に於いては120€のサーチャージとなる予定だ。 同社は今後エネルギー価格の推移に応じて料金を調整すると発表している。
同じくスウェーデンの板紙メーカーであるIggesund社も5月1日以降の値上げをアナウンスしている。値上げ幅は120~110€となる見通しで、同社が販売するすべての板紙に適用される。
ドイツの製紙メーカーであるLeipa社もすべての印刷用紙に於いて100~180€の値上げを実施する。新価格は4月1日から適用され、値上げ幅は必要に応じて一か月ごとに見直すとしている。 また印刷情報用紙やラベルなどの手掛けるLecta社もすべての製品に於いて4月1日から180€値上げを実施する。同社の価格も毎月の見直しを行う予定だ。 上記2社につづきHamburger Containerboard社も150€の値上げを4月1日出荷分から実施する事を発表している。
イタリアの製紙企業、Burgo社も4月以降同様のサーチャージを課すことを検討しており、値上げ幅は15%前後になると思われる。
北米のKemira社も同社の製造するパルプ及び紙製品に於いて3月15日から値上げを決定した。値上げ幅は15~30%となっている。
また、欧州だけでなくアジアに於いてもAPP、APRIL社も印刷用紙価格を50~150㌦の値上げを5月1日出荷分から実施する。
各国の製紙企業は日本円で10円~20円近い大幅な値上げを打ち出しており、昨今の原燃料価格の上昇によるコスト増加を素早く価格に反映する動きだ。また値上幅はひと月ごとの見直しとしている企業も多く、サーチャージの様な価格設定は今までになかった取り組みで昨今の時代背景に沿った対応と各製紙企業はコメントしている。