■ 船会社9月以降の古紙船積みを敬遠、船足の短い日本品に引き合い
2020年7月
二次感染の拡大と世界景気の低迷もあり中国市場もこのままダウントレンドへと再突入すると思われたが、価格下落は一時に留まり中国製紙メーカーは再度古紙の調達価格を強めている。
その原因は二次感染の拡大と発生減により古紙の調達が思うように進んでいない事、また一部の船会社から9月1日以降船着の中国向け船積みを見合わせる旨の発表がなされた事が大きい。
4月29日、中国国務院より9月1日施行の「改定環境防治法」が発表された。 改定案には罰則の強化と廃棄物の国内処理、その管轄や対処に関わる詳細が盛り込まれ、今回初めて第24条に輸入廃棄物原料の輸入をなくす旨が明記されている。 発表当初法律の施行となる9月以降古紙の輸入が禁止となるとの噂があったが、現在は古紙の輸入ライセンスは年内有効との見方が濃厚だ。
さらに近く第四クオーターのライセンス追加発行が噂されている。 しかし一部の船会社が独自の方針で9月以降到着分の欧州・北米からの古紙船積を受け付けない方針を発表した。 万が一9月以降古紙コンテナが中国で滞留、シップバックになるリスクがある事とコンプライアンス的側面から自粛に踏み切った様だ。 今のところYML、CNC、MARSK、EVERGREENからのアナウンスとなっているが、もし今後他の船会社も追随すれば実質的に欧米からの古紙輸入がストップすることとなる。
一方日本からの中国向け航路は5日程度と船足が短く、また各船社船積み停止のアナウンスを出していない。 思うようにAOCCの調達が進んでいない玖龍紙業と山鷹国際が日本の古紙調達に力を入れ始めたことにより価格が上昇を始めた。 9月着となると北米からの船積期限は7月中旬頃が限度となり、すでにタイムオーバーだ。
中国製紙メーカーの直接bookingに限り10月まで受け付けるとする船会社もあるが、今後の各船社の対応次第で日本の古紙引き合いが急激に強くなる可能性が高い。
現在アジア圏のOCC相場はCIF TAIWAN $140~145 (CY14~14.5/kg)だが、中華系はCIF CHINA $160~170 (CY15円台)をつけ始めている。 7月第三週に一瞬の反落後、再び上昇を始めた形だ。
問題は今後も価格は上昇を続けるのか?といった所だが、中国メーカーが上昇する古紙価格を原紙に添加できるかが焦点となる。 東南アジアでは需要低迷で原紙価格の回復は十分とは言えない。アジアメーカーは過度な古紙価格の上昇は受け入れられない上に、中国からすればこれ以上中国とアジアの原紙価格差が開けば大量の輸入紙が入ってきてしまうためそのジレンマに悩まされるだろう。