■ 上海パルプ先物価格軟化 世界的コモディティ価格下落に連動
2022年3月18日
上海のパルプ先物市場価格が一週間で10%近く軟化した。原油やコモディティ価格と連動し高騰していた先物価格が市場が、原油価格の軟化を受け価格が降り戻された形だ。
アラブ首長国連邦が原油増産を発表した事により原油先物市場が急落、高騰していた原油価格は3月9日に12%急落した。一時130㌦を超えたWTI原油先物価格は現在94-100㌦前後まで軟化している。 ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国による対ロ制裁によって、原油、石炭、天然ガス、小麦を始めコモディティ価格は大幅に上昇していた。投機的な資金も流入し、戦争という異常事態を背景に価格はさらに上昇する事も予想されていたが、原油価格が下落した事を受け先物市場は一旦落ち着きを取り戻した状態となっている。 さらに中国が対ロ制裁に後ろ向きな姿勢を示し、ロシアとの貿易を継続する意思を表明した事を受け、経済制裁が中国にも波及するとの憶測が生じた。景気失速と需要減の懸念も先物価格の値戻りを後押しした形だ。 しかし原燃料や穀物、水産物など現物価格は実需上のタイト感から高止まりしている。
中国パルプ先物市場価格は昨年11月以降、カナダバンクーバーの洪水やUPMのストライキなど供給不足から価格が上昇。 先日の原油価格の高騰によってさらに価格が上昇した。3月9日には7,462RMBと21年3月以来の価格を記録したが、11日の原油価格の下落を受け急落。3月16日に6712RMBと1週間で10%以上価格が下落した。
欧州では天然ガス価格の上昇により、製紙企業の値上げや休転が相次いでいる。原燃料価格の高騰とウクライナ情勢の欧州航路への影響により、コモディティ価格は再度上昇に転じる可能性が高い。 しかし景気失速と相次ぐ都市封鎖によって中国国内の紙パルプ需要は弱く、ロシア産木材や天然ガス・パルプの購入も継続している。中国向け価格が今後も上昇するかは不透明だ。