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Serious newspaper shortage in India, affected by the Ukrainian War

インドで深刻な新聞紙不足  ウクライナ戦争も影響

Serious newspaper shortage in India, affected by the Ukrainian War

  ■ インドで深刻な新聞紙不足  ウクライナ戦争も影響

2022年5月21日

インドに於いて深刻な新聞紙不足が発生している。新聞社はレイアウトの変更や社説の廃止、週末の特別紙を廃止するなど紙の節約に追われている。 

インドにおける新聞紙不足は様々な要因が重なっている。長年インドは世界各国か自国の需給が緩んだ時に投げ売りされる対象で、安価な輸入紙が大量に輸入された。 今や年間220万㌧あるインドの新聞紙需要のうち150万㌧(約68%)が輸入されている。一時は製紙側の要望により新聞紙に10%の関税がかけられたが、新型肺炎の流行によって経済が停滞し、インド政府は新聞紙など多くの輸入品にかける関税を減税する事を発表。 その当時新型肺炎流行初期にデジタル化や在宅ワークの浸透によって発生した世界的新聞用紙の需要低迷によって新聞紙価格は300㌦前後まで下落していた。 安価な輸入紙が入ってくる事によりインド国内の新聞紙メーカーは淘汰され、現在125社登録されているインドの新聞紙製紙企業のうち稼働しているのは46社にまで減少している。 

しかし世界景気と新聞需要が回復しはじめた昨今、世界中で消費量の縮小以上に新聞生産能力が削減されており、インドへの供給が滞りはじめたのだ。 ロシア、オーストラリア、カナダなど世界中で多くの新聞マシンが段原紙に転抄されたり停機となっている。 4ヶ月にも及ぶフィンランドUPM社のストライキも需給を悪化させた。

また中国は古紙を輸入禁止としたことで、新聞紙を輸入する様になった。21年の中国国内の新聞原紙生産量は90万㌧と古紙規制が始まった17年比36.1%まで減少し、年間70万㌧を輸入に切り替えた。  新聞紙価格は上昇を初め、海上運賃の高騰も重なりインド向け新聞紙価格は1000㌦を超える価格帯へと高騰した。

さらにロシアのウクライナ侵攻によって、中国や北欧、インドに向けられていたロシア産新聞紙の輸出が滞った。 インドは21万㌧をロシアからの輸入に依存していた上に、その他の輸入元である欧州に於いても新聞紙の原料となるBCTMPや木材チップはロシアからの輸入だった。

今や自国で新聞紙を生産しようとも、世界各国に於いて新聞古紙の発生量も減少しており、原料を入手する事も困難となっている。インドの新聞紙不足は解決の糸口が見つかっていない。

世界の新聞紙不足は日本にとっても他人ごとではない。新聞古紙不足によって日本の新聞古紙輸出価格は300㌦を超える状況にまで高騰している。

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