■ 深刻な消費減退と中国で積みあがる空コンテナ アジアからのコンテナ荷動き昨対比21.8%減
2023年4月16日
2023年2月のアジア(18ヵ国)から米国向けコンテナ荷動きは前年比29.2%減の125.5万コンテナで、1-2月の累計では23.4%減と大きく貿易量が減少した。国別では日本からの輸出は円安効果も重なり2.7%増加したものの、中国からの輸出は35.8%減少。韓国は5.3%減、台湾は29.6%減、ベトナムは22.8%減、インドは14.6%減だった。ASEANからの輸出は21.8%減少した。 品目別では家具、寝具類が40.4%減、繊維類は40%と貿易量の減少に最も影響を及ぼした。その他の製品では機械類22.8%減、プラスチック製品29.2%、電気機器、AV機器24.1%、自動車部品32.3%、鉄鋼製品は25.1%減だった。
貿易量の減少はアジア・中国における空コンテナの滞留という新たな問題を生み出している。コロナ流行初期、欧米では巣ごもり需要の増加と港湾労働者の不足から、港湾にコンテナが滞留し、世界的なコンテナ不足が発生した。不足するコンテナを補うべく世界中でコンテナの増産が行われ、2021年だけで700万TEU(20フィートコンテナ換算)を超えるコンテナが生産された。これは平時の年間生産量の3倍近い数だ。 その後港湾の混雑やサプライチェーンが回復するに従って、徐々にアジアへのコンテナ回送が進んできた。しかし、ウクライナ戦争の勃発後、資源高や通貨安の影響により原材料価格が高騰。インフレにより消費が減退した事で、アジアからの輸出も上記で記載した通り大きく減少してしまった。 昨年9月以降は海上運賃も値崩れし、港湾には空コンテナの滞留も目立つようになってきた。 特に中国上海、寧波港では空コンテナの蔵置場を確保する事が難しくなっており、逆に空コンテナの置き場待ちの為、本船が沖合に停泊しなければならない事態に陥っている。
コンテナ可用性インデックス(CAx)によると、2023年2月5~11日の上海港の指数は0.64と、11週連続で0.6を上回った。CAxの数値は0.5より大きいと空きコンテナの過剰、0.5より小さいと不足を意味する。2020年の港湾の荷役作業の停滞などで空きコンテナが極端に不足した時期には、上海港のCAxは0.1を下回っていた。 上海の港湾業者は「埠頭のコンテナヤードに、空きコンテナが溢れんばかりに積み上がっている、こんな光景は何年も前から見たことがない」と語る。コンテナ・トレーラー専用の巨大な駐車場には、仕事のないトレーラーが多く駐車されている。 コロナ期間中は多くの輸出入貨物の運搬で、ドライバーの月収は月に19万円を超えていた。今は2週間で4万5000円程度しかない。 コンテナを運ぶ運送の仕事は文字通り半減してしまい、運送業者はコロナバブルで増やしたトレーラーの償却に頭を悩ませる。古株のドライバーもまさかこんな時代がくるとは、、と仕事の激減を全く予想していなかった様だ。