■ 海上運賃が再急騰 古紙価格に影響 アジア主要港の混雑で抜港相次ぐ
2021年12月10日
12月に入り、東南アジア向けコンテナ海上輸送運賃が急上昇している。一部11月に値下された安い運賃も混在しているが、日本へ寄港する本船が相次いで抜港している事でコンテナ、スペースがタイトな状況となっている。殆どの船会社が東南アジア向けの海上運賃を急遽大幅に値上げした。
値上げ幅は向け地によって異なるが200~400㌦/コンテナで、㌔当たり1~2円のコスト増となる。 すでに船腹予約が完了した分も値上げの対象となり、輸出商社の中には膨大なコスト増を強いられる形になった会社もある様だ。
東南アジア向け海上輸送が急上昇した背景には、韓国、中国の主要港湾では混雑悪化で沖待ちが常態化しコンテナの回転率悪化、スケジュール遅延によるスペース不足が要因となっている。
都市封鎖が解除された東南アジア貨物量の増加にスペース供給が追い付かず、コンテナとスペースの取り合いとなった。 スケジュールの遅れから日本への寄港を見送る(抜港)本船が後を絶たず、スペースもさることながら、予定されていたコンテナが陸揚げされない事によるコンテナ不足も再燃している。
釜山港では本船の遅れからCYにコンテナが滞留、さらなる荷扱いの遅れを招いている。トランシップ(積み替え)に1カ月待ちの貨物もある。 中国港湾でも、例年物量が落ち着く国慶節以降も混雑は続いており、上海港では、2~3日の沖待ちが常態化している。 今年夏に新型肺炎感染者の発生でCYを一時閉鎖した寧波や深センの港湾でも混雑が依然として解消されていない状況だ。
来年2月の旧正月まではこの状況が続くという見方が強く、運賃コスト増はさらなる古紙輸出価格軟化の要因となりそうだ。
一方で、今年の旧正月は2月初旬と例年より早く、コンテナフリータイムも取れない事から東南アジアメーカーは年明けの荷受制限をアナウンスしている。旧正月中の荷止めとコンテナ不足による供給減が重なると、旧正明けメーカー古紙在庫が極端に少なくなる可能性も否定できない。 年明けの価格動向は未だ不透明な状況が続く。