ロシア 段原紙輸出量増加 中国向けがけん引

  ■ ロシア 段原紙輸出量増加 中国向けがけん引

2022年2月7日

ロシアの通関統計によると、20年のロシア段ボール原紙輸出量は92.6万㌧で前年度比1.7倍近く増加した。特に中国向けは36.5万㌧を超え、19年の9.3万㌧と比べ4倍となった。21年の通関統計は未発表だが、中国側の輸入統計によると52.6万㌧とさらに20年比1.4倍になっており、ロシアの段原紙輸出量の増加は中国向けがけん引している事がわかる。

ロシアは森林資源豊かな国で、シベリア鉄道を通じ中国向けにパルプや木材を輸出している。しかし、紙の生産設備投資は少なく、原紙の輸入国でもあった。近年の経済成長と通販需要の拡大により内需も拡大、最大手であるIlim社を始め各製紙企業は段原紙の増産を発表している。また、需要の低迷する新聞マシンからの転抄も相次いでおり、19年以降段原紙生産設備は250万㌧以上増加した。さらに今後数年間で200万㌧以上の増産計画も発表されており、中国向けの輸出はさらに増加しそうだ。 中国の輸入量に占める割合も、9%近くに達し、かつて大きな輸入シェアをもっていたインドネシアなどが数量を減らす中で存在感を示し始めている。

一方、ロシアでは古紙の回収インフラが不十分で原料問題が付きまとう。豊富な木材パルプを利用するKLBの生産は問題ないが、中芯やテストライナーは近い将来原料問題が大きな課題となるだろう。

1990年代のソビエト連邦崩壊の際に行政主導のごみ回収とリサイクルシステムは崩壊した。その後行政主体でのリサイクル確率の取り組みが幾度となく行われたが、ことごとく失敗。市中回収ゴミの7%程度しか再利用されておらず、93%が選別もされず埋め立てゴミにまわされている。モスクワ近郊のごみ埋め立て地域では公害問題も発生している事から、新たにゴミ分別センターを200カ所開設し、リサイクル率を2024年までに60%引き上げる目標を発表したが、十分な古紙回収には至っていない。

古紙の輸入は年間7.4万㌧程で、近隣のベラルーシやラトビアからの輸入量が多い。輸入量は近年増加傾向にあるが、旧ソ連国家であった東欧州に於いても古紙の回収率が高いとは言い難い。

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