古紙輸出価格下落、再生パルプ需要拡大

  ■ 古紙輸出価格下落、再生パルプ需要拡大

2019年2月1日

旧正月明けの船着分を中国、東南アジアの製紙メーカーにオファーしているが、中国メーカーの購買意欲は非常に弱い。 

韓国メーカーも古紙購買を控える動きを見せており、東南アジアメーカーに古紙商社の投売りオファーが集中した。 古紙価格がさらに下落すれば$50-70ドルベースのMIXやOCC CIF$120-140の古紙を原料に東南アジアでの再生パルプの製造がさらに活発化すると予想される。

中国の中芯価格は紙不足から下がっても$470-530前後、古紙の輸入規制がある中で再生パルプ$300-350ドル位であれば魅力的で古紙の代替えとしてさらに輸入される構図が色濃くなってくると思われる。 

昨年の中国の再生パルプ輸入量は1~11月23万7,000tでベトナム、インド、マレーシア、韓国、ドイツ等から輸入している。ベトナムからの輸入は9万2,000tとなっており最大の輸出国だが、昨年MIX古紙など品質の悪い古紙をアジア各国が規制した中、ベトナム政府は法的規制までは踏み切らなかった事が再生パルプを製造するメーカーの競争力に寄与した結果となった。

 日本からも1,400tの再生パルプが輸出され中国の古紙規制は新しい需要を生んだが、さらにライセンス数量が縮小され古紙不足が深刻化する中国において代替え原料としてその需要は拡大していくのではないだろうか。 また昨年は中華系メーカーによるバージンパルプ企業の買収と新規生産工場の建設がよく話題にあがったが、実際の輸入数量はこの数年毎年200万tずつ増えており2015年に1,980万tであった輸入量は2017年に2,371万t、2018年は2,500万tとなる見込だ。

今後の古紙価格の推移だが、今年も秋需と船足が重要になる年末に再度日本の古紙価格は上昇すると思われる。 しかし年末に向け段階的に古紙ライセンスの発行数量が縮小するとの事前予想からメーカー側も計画的に資材調達をするとみられ昨年ほどの大きな上昇要因はないのが現状だ。 

第1四半期は14-16円、第2-3四半期は16-20円、第4四半期は22-25円レンジで推移するのではないだろうか。 15年以上続いた古紙輸出バブルと中国で大きく伸びた製紙産業もその本格的な過渡期となり、産業の構造変化と生産拠点の移動が本格化すると思われる。 また価格変動の地政学要因として米中貿易戦争による景気の減退と米国金利政策、3月は日系企業決算に伴うドル資産の円転により円高が予想され、さらに円価が下振れする可能性は残っている。 


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