■ 人民元安で中国向け段原紙輸出価格が軟化 日本は円安でやや優位?
2022年5月28日
厳格な都市封鎖による製造業稼働停止の影響で、中国の景気が急激に悪化し始めている事が浮き彫りとなった。 中国統計局の発表によると、4月の工業生産は前年同月比2.9% 減で消費の動向を示す小売売上高は前年同月比11.1%減少と二か月連続のマイナスだった。 失業率は6.1%へと悪化し若者の失業率も過去最悪水準となっている。 また国内総生産GDPも前年同月比0.68%減と、20年2月以来となる縮小だった。 急速な景気の冷え込みと、感染拡大が落ち着きつつあることを背景に中国政府は、6月中旬から上海など感染拡大が収束しつつある地域を中心に、都市封鎖を解除し通常通り経済活動を再開する事を発表した。
中国の都市封鎖解除の発表を受け、経済再稼働に対する期待感から段メーカーでは段原紙の購入を再開する動きがでている。都市封鎖によって物流が制限され、段メーカーの原紙在庫は少ない。 しかし米国FRB利上げによってドル高が進み、人民元相場が急落。5月20日の人民元対ドル相場が6.72RMB/ USDと3月初旬に比べ6%以上の元安となった事で輸入紙に対するカウンター価格は軟化した。今年初旬の中国向けテストライナー価格はCIF 520~530㌦前後で推移していたが、現在の相場は500~510㌦まで軟化ており、480ドル前後のカウンターオファーも来ている。 昨今の需要減によって全体的な段原紙相場が軟化していた事に加え、人民元安に伴うさらなる価格低下に東南アジアメーカーは対応しきれていない。 東南アジアの通貨もまた対ドルで通貨安になっているが、最も中国向け段原紙輸出の多い
インドネシアで2%前後、タイバーツ及び韓国ウォンは5%、台湾ドルも5.4%の通貨安にとどまっている。一方、3月1日に114.89円/USDだった日本円は5月20日に129. 16円まで下落し11%の強烈な円安となった事で、対中国向け輸出に於いて優位な立場になったと言える。 3月の中国の段原紙輸入量は37万㌧と前年度比53.8%と大幅に減少した半面、日本からの中国向け段原紙輸出量は5.7万㌧で前年度比1.5倍近く増加した。 第1四半期の段原紙輸出量総量は昨年と大きく変わっておらず、東南アジア向けが減少し、中国向け輸出が増加した。