■ マーケットハイライト:固形廃棄物環境防治法改定、船会社中国向け古紙の船積みを敬遠
2020年8月30日
4月に法改正された中国の「固形廃棄物環境防治法」が9月1日より施行となった。
法改正内容で注目された事は第二十四条に固形廃棄物原料の輸入をゼロにする旨が記載された事だ。
これまでは国務院の努力目標として公示されているに留まっていたが、法令に明文化することによってこの法解釈に様々な意見が錯綜する事となった。この改正に一番反応したのは船会社で、船会社の多くが9月1日以降到着の古紙を含む固形廃棄物の船積みを自主的に見合わせる発表をしている。
この「固形廃棄物環境防治法」の第百十五条に違反者には50万元以上500万元以下(800~8,000万円)の罰金が科される上に船会社も連帯してその責任を負うとの文言が付記されており、船会社の過剰反応の原因となった。
しかし日系船会社を始め日本-中国間の航路に関し自粛の動きは足並みがそろっているわけではなく船積みを継続している船会社もある。欧米航路に於いても荷受側製紙企業の保証状等の提出をもって、船積みを引き受ける船会社もある。
一方で実質欧米からの船積みが難しくなったことにより日本品への引き合いが強まった。 景気が回復する中国において空コンテナが不足する事態ともなっており、東南アジア向け輸出の海上運賃の値上がりやBOOKINGが取りづらい状況となっている。さらには東南アジアでは製品市況の回復が鈍く、EOCCが値下がりしたことから国によって価格が軟化を始めている。
大手製紙企業によると10月に今年最後となる第4四半期の古紙輸入ライセンスが大手企業を主軸に80万t発行されるであろうとの噂もあり、この9月以降の船会社の自粛が杞憂である結果になる可能性も高い。実際日本の古紙に関しては今の所9月1日以降到着した古紙が通関で止まったなどの話は出てきていない。
今後ライセンスの発行を見越した中国製紙企業の買い付け増も起こりうるが、船会社も古紙のBOOKINGを条件付きで再開する可能性は否定できない。