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中国政府段ボール原紙の輸入関税率を引き下げ

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  ■ 中国政府段ボール原紙の輸入関税率を引き下げ

2020年1月15日

中国政府は2020年1月1日から859品目の関税を引き下げ、最恵国税率を下回る暫定税率の適用を開始した。

(関税の種類については<関税の種類>参照)

喘息や糖尿病を治療するための輸入医薬品や先端技術である半導体の検査装置や選別機、高圧タービン制御弁、自動変速機用トルクコンバーター、アルミ製バルブコア、フィルム原料、フォトレジスト用分散液は0%、冷凍豚肉、魚、エビ、ナッツ冷凍アボカド・オレンジジュースを含む日用消費財、豚コレラの流行により供給不足が指摘されている冷凍豚肉の関税率は12%から8%に引き下げ、資源製品の中で国内需要のある一部の木材と紙製品も6%から4~5%へ減税される。

(中国暫定税率<紙パルプ抜粋>参照)

一方再生パルプの輸入関税は昨年12月15日より急遽税率が0%から6%へ増税された。本来再生パルプは無税であった事から脱税逃れの為段原紙を再生パルプと称して輸入する密輸や、品質の悪い再生パルプの輸入が後を絶たなかった。

今回の再生パルプの増税と段原紙の減税はそういった懸念に対応するものであり、再生パルプの輸入によって中国国内で製紙を継続することよりも、海外からの原紙輸入を推奨したい中国政府の思惑も見え隠れしている。

中国政府は例年状況に合わせ最恵税率より低い暫定税率を設定しており2019年は706品目に対して、2018年には国内需要が旺盛な航空機エンジン、自動車生産ラインの溶接ロボットなどの先進設備、天然まぐさ、天然ウランなどの資源を対象に暫定税率を別途制定していた。今年はその措置をさらに拡大、国内で不足する物資の調達と海外貿易を促進し景気の拡大を促す。また来年7月1日からは最恵国からの情報技術製品176品目の輸入について、第5段階の関税引き下げを実施する案がある事を示唆している。

 

米中関税

米中貿易戦争に関する米中協議は第一段階の合意を取り付けたが、中国側が大きく譲歩した形となった。中国政府は例年景気対策を目的とした減税を制作とっているが、米国との交渉は中国にとってウィンウィンの結果になる可能性は低く、冷え込んだ中国経済に対する景気対策として米国以外の国との貿易強化を促進する方針をとるものと思われる。 

貿易戦争と米国の増税により各国の製造業が脱中国を加速する中で、中国もまた脱米国依存を進め、東南アジアやその他諸外国との関係を強化していくだろう。 中国は近い将来消費大国となりうるが、海外に移転した工場で製造された製品は最終的に13憶人の消費を満たす為中国へ輸入されサプライチェーンの構造が変化してくるのではないだろうか。

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