■ マーケットハイライト:新型肺炎流行拡大も古紙価格は維持
2020年3月20日
新型肺炎の流行は未だ収束の兆しはなく日々拡大し、欧米の感染者数はすでに中国の感染者数を超えている。
日本でもオリンピック延期やイベント自粛、部品の不着による工場停止などGDPと失業率に大きな影響が出ており、リーマンショック以上といわれる世界不況の到来が予測される中で、今後紙の需要も大きな影響を受けることは必至だ。
そんな中、古紙輸出価格は円貨こそ為替の乱高下の影響を受けながらも今年最高値を維持している。中国では封鎖解除に伴い中国経済の失速が表面化、一時原料不足から高騰した原紙・古紙価格が下落し始めているが、ベトナム・台湾に於いては中国に代わる代替え需要が増加、欧州の封鎖やコンテナ不足による古紙の調達不足が後押しし、特にベトナムに於いて強気の相場が続いている。
しかし世界的な景気の減退による振替需要そのものの減退や、台湾・ベトナムでも都市封鎖が実施された場合、古紙の輸出は困難となり価格が下落する可能性も大いにある。
米国では相次ぐ都市封鎖、消費の低迷により予想を超える300万件以上の失業保険の申請がでており世界経済のけん引役である米中両国の経済的ダメージは計り知れない。まだ感染が拡大していない途上国に於いてもマレーシア、インド、フィリピンなど医療崩壊を防ぐため早期にロックダウンの決定、外出や物流を制限する動きも出ており貿易への影響が懸念される。また日本国内のイベント自粛等による古紙発生減や、コンテナが取りづらくなるなど複合的な要因が古紙輸出にブレーキを掛ける可能性は否めない。