古紙価格は低迷が継続。回収を維持するには社会の協力と抜本的改革が必要

  ■ 古紙価格は低迷が継続。回収を維持するには社会の協力と抜本的改革が必要

2019年7月1日

今後の価格変動要因は短期的にはやはり米中貿易戦争の行く末と世界景気動向、中長期的に東南アジア各国の製紙増産ラインの稼働開始と中国の秋需を狙った再生パルプ工場に対する販売が大きな要因となるだろう。 

しかし古紙価格の低迷がさらに長期化すれば各国が逆有償(処分代金)としての回収に切り替え古紙回収インフラを維持できるかということも大きな課題となってくる。 幸い日本では一部の地域で回収拒否も散見されるものの、古紙問屋は赤字でも真面目に古紙回収を継続しており、また製紙メーカーもインフラ維持の為古紙を買い支えている。 

しかし現在の古紙問屋の国内と輸出平均出荷価格は10円代中盤~前半まで下がっており、今後国内価格がさらに軟化すれば事業の維持が難しくなる問屋も出てくるだろう。 

さらに中期的に古紙価格の大幅な回復は見込めない為、日本でも古紙発生元に対する購入価格からしっかりと調整しなければならない。 

数年続いた古紙バブルにより不動産関連の古紙は管理会社が入札を募り、スーパーの回収古紙もその発生量に関係なく高値がついている。 行政も高値で売れていた古紙の入札に処分費として予算(税金)を投入するという事は久しく行っておらず、そういった各個坪先への説明はしっかりと行っていく必要がある。 

また、「紙ごみ」の名目にて回収品目を増やし掘り起こしをした雑古紙の今後の在り方も、再度可燃ごみに戻す等、真剣に向き合う必要があるのではないだろうか。

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