古紙輸出市況:経済鈍化により古紙価格は下落継続。採算割れから世界的回収減

  ■ 古紙輸出市況:経済鈍化により古紙価格は下落継続。採算割れから世界的回収減

2019年6月30日

米中貿易戦争の影響で世界の経済が鈍化、アジア圏の紙パルプ需要も低迷膠着状態が続いている。 古紙輸出価格は6月下旬でJOCC CIF TAIWAN $85-90、CIF VIETNAM $95-105と一時より下落スピードが鈍化し緩やかな下落となっている。 

個人的な見解では岳排や各社SDを控える7月の国内需要は悪く、基準価格を維持する国内相場はもう一段階調整が入り軟化すると思われるが、輸出価格も7~8月が底値ではないかと考えている。 

現在も緩やかに下落が続いている原因として、米国MIX古紙はシングルストリーム回収にて元来逆有償、製品需要自体が悪いことも相まってCIF $50~60レンジまで価格を下げて東南アジアやインド方面へその販路を広げていること、有価の段ボール於いても#12 DSOCC CIF 東南アジア $110~120、#11OCC $90~100まで価格を下げており日本の古紙もそれに引きずられた事が理由だ。 

また古紙を輸出する窓口が狭まった事により、古紙在庫に困窮する一部の古紙問屋が直接海外メーカーと安値で販売を決めたことも噂となり、価格の下振れを手伝った。 現在の相場は欧州がやや引き気味、国内に十分な消費先がなく埋め立てするか輸出をするか選択の余地がある米国と、置き場がなく赤字でも真面目に回収を続ける日本の古紙問屋の競争となっている。 

しかし古紙は相場物ではあるもののインフラとしての古紙回収には絶対的底値があり、回収システムそのものを維持できない現在の市況は一旦底値とみていいだろう。 南ヨーロッパ等古紙を含む産廃回収を「マフィア」等がビジネス化している地域ではその回収維持が困難になってきており、そういった国では今後廃プラ同様に古紙も社会問題となる可能性がある。

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