古紙輸出市況:海上運賃の値下がりと欧米での回収再開。価格軟化

  ■ 古紙輸出市況:海上運賃の値下がりと欧米での回収再開。価格軟化

2020年6月30日

新型肺炎の影響で値上がりした輸出古紙相場が5月以降反転下落している。

要因としては欧米の都市封鎖が解除された事により古紙の回収が再開された事、海上コンテナの流通が戻りつつあり海上運賃が値下がりしたこと、古紙不足から古紙の買い増しをしていた欧米の製紙メーカーの在庫が一定量まで膨らんだ事により買いが鈍化し市場流通量が増えた事がある。 

また欧米での感染拡大の影響で輸出に依存していた途上国の需要が悪化し原紙価格が崩れた。 世界中で通販需要は堅調なもののテレワーク需要であるPCの購入が一巡したことや外出自粛により衣料・靴・加工食品関連の販売が低迷、また自動車の購入台数が大幅に落ち込んだことが途上国の輸出を大幅に鈍化させた。

昨年末に380~400㌦付近で推移していたアジア中芯価格は、旧正月に一旦値下がりし、360~380㌦付近と下落後、中国振り替え需要中も値上がりする事なく5月以降大きく崩れた。現在の東南アジア中芯相場は300~310㌦前後、インドネシアや韓国では250~270㌦付近まで価格を下げるメーカーも出ている。

当然高騰した古紙価格では採算が悪く古紙調達価格を引き下げざるを得えず、欧米の都市封鎖解除をきっかけに先安感から製紙購買担当は古紙を買い控え価格の調整に動き出した。 

現在の300㌦付近の中芯価格では100~120㌦前後までOCC価格を下げなければ採算が合わないが、回収は再開されたものの発生は依然として少なく、採算ベースまで下げきれていないのが現状だ。

中国市場の回復と梅雨入りもあり相場の下げ止まり感と方向性に乏しい雰囲気となっている。現在のJOCC相場はCIF TAIWAN $125-130(CY12.5-12.8/kg) CIF VIETNAM $135-140 (CY 12.0-12.5/kg)となっている。

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