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古紙輸出市況:低迷した古紙価格に品質維持懸念。価格若干の反発

  ■ 古紙輸出市況:低迷した古紙価格に品質維持懸念。価格若干の反発

2019年8月30日

7 月 10 日に第 3 四半期の古紙輸入ライセンスが発行されたことにより、底値を打った世界古紙相場は反転しわずか数週間で$20~30 ㌦ほど回復した。 主に中華系メーカーを先陣にその買付価格を上乗せし始めたが、低すぎる古紙価格に品質悪化を懸念した東南アジアメーカーもそれに追随した。        

しかし盆休み明けにその上昇トレンドは一変、再度価格が軟化し始めている。 8 月初旬大手新聞用紙メーカーである山東華泰社が、突如その輸入古紙契約をキャンセルしたことも市場に混乱を招いた。       

日本からの買付もキャンセルされ、商社がすでに購入を済ませていた段ボール古紙が台湾へ安く転売された事により、台湾の価格が一足先に下落した。当初華秦社の大量キャンセルは中国政府から輸入ライセンスを剥奪されたのではないかとの噂が立ったが、当社が問い合わせたところライセンスの剥奪には至っていないとの回答だった。       

同社の輸入ライセンスは新聞と段ボール古紙両方に有効なもので、すでに今年   84   万tと同規模程度の他社より優遇を受け多く交付を受けている。同社も段ボール原紙マシンを所有しているものの、主要製品は新聞用紙となっており新聞古紙より段ボール古紙を多く購入したことを競合企業により中国政府にリークされた為行政指導を受けたとのことだ。    ライセンスは剥奪されておらず新聞古紙は引き続き購入できるが、新聞用紙市況は悪く暫くは輸入古紙を購入しないという。    情報の正確性はわからないが、市況が回復すれば買付を再開するということだろうか。  

その他中華系製紙メーカーはライセンス発行により古紙の購入を再開したが、限られた量の調達に留まり様子を見る様にその買付の手を 緩め始めている。 米中貿易戦争による中国経済と包装資材需要に対する影響は大きく、原紙需要は対前年度比で大きく割れ込んだままだ。

またトランプ政権により対中追加関税が発動され、対 USD で 7.0RMB 以上と 11 年ぶりの元安となった事も中国バイヤーの危機感を煽り購買意欲を鈍らせた。

古紙サプライヤーは中国の輸入ライセンス発行に伴う価格の回復で出荷量を増やしたが、発行量に比べ限られた調達量で中国製紙メーカーがその買付を控え始めたことに、ここでさらなる契約をとっておきたいとばかり価格を軟化させた。

しかし各国からの輸出出荷が増えたことにより製紙メーカーの輸入古紙在庫が増加したこと、原紙不況から再生パルプ製造に踏み切った台湾系製紙メーカーからの供給増も重なり、中国国内の古紙価格も緩やかに下落している。 昨年のこの時期に米国古紙に対し報復関税が追税され秋需も重なった事もあり日本からの古紙買付が急増、中国 ローカル古紙、JOCC   価格共に急騰した。      

今年も間もなく秋需となるが中国国内の段ボール需要は変わらず弱く、東南アジアメーカーにその原紙オファーは出されていなければその原料となる古紙需要も弱い。

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