■ 旧正月とライセンス更新で年明け古紙輸出に懸念? 欧米古紙の流通増加に価格も軟化
2021年11月7日
11月初旬、東南アジア向け段ボール古紙価格がさらに10~20㌦軟化した。9月以降中国の景気失速感と再生パルプ需要減退によって国際古紙市況は軟化傾向にあったが、クリスマスシーズンを目前に欧米古紙の流通量が増加し、さらに価格が軟化した。
米国の経済回復に伴い古紙の回収量は増加しているが、旺盛な国内需要によって需給はタイトな状況だった。しかしクリスマスシーズンの休暇を前に国内出荷が鈍る事が予想され、古紙サプライヤーは在庫を減らすべく輸出量を増加させている。またコンテナの確保が難しいことから早めの契約に動いている様だ。
一方で東南アジアでは段原紙輸出需要が減退した事に加え、都市封鎖の影響が解消していない為原紙需要が弱い。 移動制限は段階的に解除されつつあるが、製造業の稼働はフル生産に戻っていない状況だ。
さらに今年は旧正月が例年早く1月31日から休暇となるため、ベトナム、台湾の製紙企業は年明けの荷受制限をアナウンスし始めている。 昨今のコンテナ問題から船会社は長期のフリータイムを付与しないため旧正月1~2週間前の船着分から影響がでると見られる。
1月15日以降の到着が対象となり、船足の長い米国古紙は11月末~12月中旬までに船積みを完了しなければならない。さらに船足の長い欧州古紙は契約と船積みを急ぐ必要がある。EOCC(95/5)価格は $260-275と10月末から20㌦前後急落した。
また、台湾や韓国向けの海上運賃が下がった事も同国向けの価格軟化の要因となった。特に北米から台湾向けの海上運賃は㌧あたり20㌦程度下落し、AOCC#11価格を$265-280と日本古紙価格を下回る水準まで押し下げている。
しかし東南アジア向け米国古紙は香港、シンガポールなどで積み替えが必要となるため海上運賃は下がっておらず、AOCC#11価格も CIF $290-320と 台湾・韓国向けほど値崩れしていない。