■ 独身の日は過去最高売上を更新、製紙はコスト増で減益 セール後は原紙価格軟化
2021年11月26日
今年の中国「独身の日」通販セールは業界最大手のアリババ社で5403億元(約9兆6000億円)、業界2位の京東集団(JDドットコム)は3491億元(約6兆2000億円)で、大手2社のセール期間中の取引総額は約16兆円に達し過去最高額となった。 中国当局が国民に生活必需品の備蓄を呼びかけたことも追い風となったとみられる。
中国国内の段原紙価格は独身の日に向けた包装需要と、エネルギー消費の二重制限と原燃料価格の上昇などの影響も重なり、10月中旬以降急上昇した。しかし独身の日の売り上げが過去最高を更新した一方で、急激なコスト上昇は大幅な原紙値上げをもってしてもカバーしきれず、製紙企業の収益は急速に圧迫され始めている。
中国南西証券の調査によると、第3四半期の製紙部門の売り上げは493億ドルと前年同期比17.4%と増加したものの、純利益は25億ドルで、前年同期比12.7%減少した。 玖龍社は11月3日、独身の日セール後の11月16日からもトンあたり100RMB(約15㌦)の値上げを発表したがこの値上げは独身の日セール後の需要減退も相まって、市場に受け入れられなかった。 玖龍社が12月1日に値上げの延期を発表すると同時に山鷹国際や金田紙業を始めその他製紙企業による値下げが相次ぎ、段原紙価格は50~150RMBほど下落し、連動して国内古紙購入価格も引き下げられた。
さらに玖龍社は年明けの旧正月期間中の不需要期を睨み、東莞、太倉、天津、唐山、泉州の5つの基幹工場において2022年1月15日から4月21日までの3か月間で7~31日間大規模の休転計画を発表した。休転によって減産される量は総計48万5000㌧に及ぶ見込みだ。
山鷹社も12月に休転計画を発表しており、旧正月の不需要期前の在庫調整と、セールによって輸入紙の増加を防ぐ動きもでている。