■ 中国ゼロコロナ政策に反対デモ 国民の不満爆発 天安門事件以来の大規模デモに発展
2022年11月29日
中国各地で「ゼロコロナ政策」や中国共産党の支配に対するデモが勃発している。今年三期目の政権の座を獲得した習近平国家主席も名指しで批判される存在となった。 市民が共産党や周主席に対して名指しで批判する事は非常に珍しく、積もり積もった不満が爆発した形だ。
急に市民がリスクをおかしてまで政府に反発する様になった背景には、人権を無視するほどの厳しい行動制限にも関わらず、感染者は4万人を超え感染拡大始まって以来の数に膨れ上がり、政策に対する疑念が広がった事がある。 また新疆ウイグル自治区ウルムチ市で発生した火災では消火活動が厳しい都市封鎖対策が妨げとなり10人が死亡した。 これを引き金に今年餓死者がでそうなまでの厳しい都市封鎖を経験した上海や北京に於いて学生を中心としてデモを起こしている。 大都市のデモでは習近平の退陣や自由を求めるスローガンを叫びながら、政府の検閲行為に対する抗議を示す白い紙を掲げるなど中国では異例の事態となっている。
中央政府は止む無くウイグル地区に於いては外出規制を緩和するなど対応措置を講じ、9日から買い物など外出が認められ、「低リスク」地区に認定されたエリアでは必要不可欠なサービスや商品を提供する店舗が営業を許可されている。
一方大都市では中国当局が膨大な数の治安要員を迅速に動員し、抗議デモを抑え込みにかかっている。警官らは街路を巡回し、抗議デモ参加者を検挙したが、その様子もSNSで拡散されるなど混乱は益々激しさを増している。
さらにデモは中国国内だけにとどまらず世界各国の大使館前でも行われており、ロンドンの在英中国大使館前で27日夜、数百人が習近平国家主席に対する抗議デモが実施され、日本新宿に於いても100人規模の抗議デモが発生した。
中国政府としてはこのまま抗議デモが全土に広がり、政権批判の勢いが増すことは何としても避けたい。 中央指導部はゼロコロナ政策が間違いだったと認める事はできないが、『間違いではなかったが新しい対応形式に変える』と軟着陸させる可能性はある。しかし感染を食いとめつつ、不満の募っている厳しい外出制限を解除するべきか、政府は方向転換も含め難しい対応を迫られる事になるだろう。