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古紙輸出市況: 旧正月前の荷止めで年明け輸出に懸念 価格軟化

古紙輸出市況: 旧正月前の荷止めで年明け輸出に懸念 価格軟化

米バイデン大統領  港の24時間稼働と滞留コンテナに罰金

  ■ 古紙輸出市況: 旧正月前の荷止めで年明け輸出に懸念 価格軟化

2021年11月27日

9月以降古紙輸出価格の軟化が続いているが、11月に入り東南アジア向け段ボール古紙輸出価格がさらに10~20㌦軟化した。 中国の景気失速感と再生パルプ需要減退によって国際古紙市況は軟化傾向にあったが、欧米古紙の輸出量が増加したことでさらに価格が軟化した形だ。 

今年3月頃から米国の経済回復に伴う旺盛な国内需要によって米国内の古紙需給はタイトな状況だった。しかし今後国内向け出荷量が鈍る事が予想され、古紙サプライヤーは在庫を減らすべく輸出量を増加させている。 また年明けの旧正月に係る荷受制限もアナウンスされ始め、出荷を急ぐ欧米古紙を中心に価格が軟化している。

 7~10月にかけ東南アジアでは都市封鎖が実施され、製紙企業の古紙購買意欲は弱かった。さらに都市封鎖が解除された後も各製造業はスロースタートであった上に、中国向け段原紙販売量が低下した事から、古紙の買い付けを強める様子はなかった。今年は実質的な秋需が無かったような状態だ。 

一方米国古紙サプライヤーは東南アジアの古紙需要が弱い中で、需要が堅調な国内向け出荷を増やしていた。 秋需も終盤に差し掛かった現在も、米国内は例年の秋需に加え、新型肺炎の流行による強い通販需要で段原紙メーカーは高稼働状態となっている。 

しかしこの数か月で古紙入荷量が大幅に増えた事で製紙企業の古紙在庫は過去10カ月で最も多い状態となった。 例年であれば秋需で中国に大量の古紙が輸出され、例年感謝祭(11月中旬)ごろ米国内の製紙企業側は古紙の追加納入を古紙問屋に依頼するが、今年はその依頼も無かった様だ。 

米国内大手古紙問屋は「製紙企業は古紙集荷量が減少するクリスマス休暇期間の入荷量を心配していない。特に北米中西部の製紙企業は入荷量を増やす予定はない様だ。 夏ごろから一時75㌦前後ついていたプレミア価格も減額し12月は30~40㌦となる見込みだ。 

このまま古紙の輸出引き合いが弱い状態が続いた場合、来年第2四半期までに国内向け価格は100㌦前後にまで戻るとみている。MIX古紙は35~40㌦まで下がるだろう」と業界紙に語っている。 また年末に近づき物量が増えた事で古紙の国内輸送が難しくなったことも、米国サプライヤーが輸出価格の軟化を受け入れる要因ともなっている。 

国内の運送業者は新型肺炎の休業手当が出ている為、ドライバーが少なく輸送手段の確保が難しくなりつつある。一方バイデン政権の取った空コンテナの滞留に罰金を科すなどの措置によって輸出コンテナは以前より確保しやすくなった。 今年は旧正月が例年より早く1月29日から休暇となるため、ベトナム、台湾の製紙企業は年明けの荷受制限をアナウンスし始めている。 

昨今のコンテナ問題から船会社は長期のフリータイムを付与しないため旧正月1~2週間前の船着分から影響がでると見られる。 1月15日以降の到着が対象となり、米国古紙は11月末~12月中旬までに船積みを完了しなければならない。さらに船足の長い欧州古紙は契約と船積みを急ぐ必要がある。欧州で古紙の回収量が増えた事も重なりEOCC(95/5)価格は $260-275と10月末から20㌦前後急落した。 

また台湾や韓国向けの海上運賃が下がった事も同エリア向けの米国古紙価格を押し下げる要因となった。北米から台湾向けの海上運賃は㌧あたり20㌦程度下落し、AOCC #11価格を$265-280とJOCCを下回る水準まで軟化させたことが日本古紙価格にも影響を及ぼした。

現在のJOCC価格はCIF TAIWAN $250-250(CY24.0-24.5) CIF VIETNAM $270-285(CY24.0-25.0) とさらに軟化傾向にある。

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