■ アジア古紙市況:欧州の古紙回収減により価格上昇 アジアでも都市封鎖始まる
2020年4月
欧州での古紙不足と輸出量の減少はアジアの古紙需給へ影響し、古紙タイト感を発生させている。ベトナムでは中国からの振替需要によりテト(旧正月)明け以降内需が堅調な上に、EOCCの出荷が遅れ米国の古紙も調達が難しくなった事から古紙購入価格が高止まりした。
ベトナム政府は3月31日外出禁止令を発表14日間の不要不急の外出を控えるように発表しラオス、カンボジアとの国境を封鎖、両国からの入国者を一時隔離するなどの措置を行った。
しかし医療崩壊を防ぐため早めの対応となった事が功を奏しその後大きな感染拡大は確認されておらず、現在は一部公務員の在宅勤務程度の措置にとどまっている。
一方ベトナム同様内需が好調であった台湾は、振替需要と巣ごもり需要で段ボール需要は堅調、旧正月以降中国からの原紙引き合いも強い状況だった。
しかし中国の稼働に伴い引き合いが急激に弱まり5月積み段原紙の発注は少ない。 AOCCの調達が難しい事から古紙の購買価格は高止まりしていているが、中国向け原紙輸出価格は軟化している。
台湾に於ける5月以降の景気見通しは、中国の需要後退と製品の輸出先である欧米先進国の都市封鎖や景気後退による影響が今後出てくると思われ不透明な状況だ。
タイでは感染拡大に伴い非常事態宣言がなされ3月22日から4月30日まで行動宣言が発令されている。商業施設や学校、図書館なども閉鎖され、首都バンコクは閑散としている。都市封鎖の影響で景気が悪化、回収業者も古紙を選別できない為ごみ化、古紙問屋も時短営業などを行っている。自動車等製造業も輸出がストップしたため不調、段ボールの払い出しは悪化しているとの事。
中国では新型肺炎が収束に向かい各工場が稼働を開始、武漢も封鎖が解禁された。 武漢では再封鎖による監禁を避ける為武漢から脱出しようとする住民が駅に長蛇の列をつくる様子が報道されたが、北方のハルピン市が封鎖されるなど感染の再拡大と海外からのピンポン感染が懸念されている。
中国の古紙・原紙価格は4月上旬より古紙の回収が再開された事、景気の悪化により紙需要が減ったことにより高騰していた古紙・原紙共に価格が下落した。