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中国法改定:「輸入廃棄物原料の船積前管理監督実施規則」

  ■ 中国法改定:「輸入廃棄物原料の船積前管理監督実施規則」

2018年6月20日

5月28日に交付され6月1日施行の「輸入廃棄物原料の船積前管理監督実施規則」は各国のCCIC検査機関に対する基準・罰則を制定したもので米国の古紙輸出に影響がでている。内容は検査機関としての登録方法、書類の管理、中国税関への検査証書の申請、登録等に関する基準(検査機関の税関管轄化)の他、「検査機関自らの集荷、船積みの禁止」「荷主の自主検査制度の廃止」「違反があった場合の検査機関に対する罰則」が盛り込まれている。施行は6月1日だがWEB上のシステム実装を含め実施は6月22日となる見込みである。これに伴い米国での荷主の自主検査も廃止になり、米国CCICの検査員がすべてのコンテナ積みに立ち会うこととなる。国土の広い米国で検査員も不足する中スムーズな検査と船積みが行えなくなる可能性が出ており、この船積前検査の厳格化はどの程度実施されるのか米国のサプライヤーは不安を隠せない。上記発表のあった直後5月31日には米大手輸出業者4社がCCICの検査の先行き不透明感から中国向け船積みをキャンセルしたとのことで、自主検査の撤廃は米古紙の中国向け輸出を困難にし、さらなる古紙不足を招くと予想される。

そんな中、6月15日に「輸入廃棄物原料の国内使用者登録管理に関する規則」が中国税関本部から発表され、輸入古紙の使用者登録を行うこととなった。これはいわゆる輸入ライセンスのことだが、すでに新制度導入され半年が経過し大手優遇のライセンス交付が行われてきた。しかし今回登録に関し新基準が発表され、すでに交付を受けた製紙メーカーも再度登録をしなければならないこととなっている。  

以前の登録要件と異なる点は「自己使用限定、転売譲渡の禁止」「関連会社による自主検査の禁止(輸入ライセンスの交付を受けた企業の関連会社は出荷国にて検査機関としての登録ができない)」「登録の有効期間は5年(輸入ライセンスの数量枠とは別物)」「罰則の厳格化」「有資格者制度の追加」「登録の期限(8月1日)」となっている。輸入ライセンス枠の残量のある製紙メーカーもこの再登録を急ぐ動きを見せており、また前回同様環境設備の審査等もある為、登録が完了するまでは古紙の購買も一時的に落ち着きそうな雰囲気だ。

6月19日に14回目のライセンス発表があったが、金属スクラップ及び廃プラのみとなり古紙に対するライセンスは交付されなかった。発表前2週間のライセンス申請及び追加申請がすべて却下になったのか、申請そのものがなかったのかは不明だが今回の法改定と関係があるようだ。

8月1日までに再登録申請を行わなければ登録は抹消されるとのことで新規則では登録要件と罰則の厳格化がなされている。前回昨年末の登録の際は環境基準等の審査に手間取りライセンスの交付が遅れる企業が後を絶たなかった。上半期に受けたライセンス枠が残っていれば8月1日までは輸入を継続できるが、それ以降は新規登録が必要となりその審査に時間がかかりまた混乱が生じそうな雰囲気だ。

一方中国国内古紙は6月21日に値上げが発表されている。古紙の調達困難による大手二社(理文社、玖龍社)の休転が発表される中、輸入ライセンスを持たない山東濰坊紙業、浙江森林紙業、江蘇准安鵬紙業、福建省張家紙業、広東佛山紙業等を含む多くの中小製紙会社が6月21日より、古紙価格を50RMB/tの値上げ、佛山金城合繊紙業は80RMBの値上げを発表している。

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