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古紙問屋先行き不透明感に先売り価格が下落。国内プレミア価格も軟化

  ■ 古紙問屋先行き不透明感に先売り価格が下落。国内プレミア価格も軟化

2019年1月30日

昨年もこの時期の輸出価格は国内建値の18円を下回ったが原紙の値上げもあり日本の製紙メーカーが古紙を買い支えたこと、昨年は旧正月明けに古紙価格は回復すると楽観視から古紙問屋はすぐに安い価格で成約せず在庫を積む方向を取った為、日本の古紙だけが国際市況程価格が下がらなかった。 

しかし今年は昨年12月頃から古紙問屋に危機感が蔓延し先売りの姿勢、12月中盤に20-22円、中国向けの輸出見積りが完全にストップした12月末には台湾向けCY18円まで下落したが九州、関東を中心に輸出オファーが殺到した。 

昨年と違い古紙在庫を積む方針を取らなかった背景に、昨年はすぐに回復すると予測した古紙価格が米古紙の輸出規制が始まる5月まで低迷したことにより台貫の上まで古紙在庫を積み増した代納問屋の苦い思い出と、何より今年は国内の製紙メーカーが去年程古紙を受け入れしていないという状況がある。 

某日系製紙は昨年原紙値上げへの強気な姿勢と古紙問屋へのアピールを兼ね(下がった時に20円で買い支える対価として高騰したときでも25円位で売って欲しい思惑もあったらしい)古紙を買い支えたが、さらに輸出価格の下がった2-3月に安い古紙を過剰な古紙在庫の為思いのほか購入できなかった上、予想より長引いた輸出価格の低迷で国内メーカーに古紙が集中し春先には荷止めを慣行せざるを得なかった。 結果的に古紙問屋は古紙の荷捌きに苦労し製紙メーカーの思惑とは裏腹に不満を募らせた形になってしまった。 

製紙側も価格の高騰した年末には結局30円以上の価格を付けなければ古紙が買えなかったことから、今年は最低限必要な量のみ購入するという方針を取っている。 価格こそ1月購入価格OCC 20-23円と輸出より高値維持しているものの、受け入れ数量は2-3割カット、2月分は20円~建値(18円)との声も聞こえてくる。 段ボール原紙は一昨年の10円に続きさらに8円の値上げ、古紙価格の暴落は原紙価格の値崩れを招きかねないが、実際は古紙以外のコスト増(原燃料や運送費、人件費)により段ボールケースが予定通り配送できない事態が発生している為、値上げを理解容認するユーザーもでてきている。 製紙メーカー側も古紙価格下落による製品価格への影響は昨年より小さくなっていると判断しているようだ。

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