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年始から世界的に高騰したパルプ価格は年末には下落2018年は供給過剰に

  ■ 年始から世界的に高騰したパルプ価格は年末には下落2018年は供給過剰に

2017年5月20日

 中国需要の拡大と価格上昇

世界的にパルプ市況は上昇傾向、特にBSKとフラッフパルプの価格は3月に引き続き4月も堅調に推移している。中国の需要増にけん引された形だ。

コンテナ不足からヨーロッパから中国向け航路の海上運賃値上げもパルプ価格の引き上げ要因となっているが、一番の理由は昨年10月に稼働が開始し外販が始まるといわれていたAPPオキ工場のパルプ生産(140万トン/年)が安定せず、内100万トン程度をAPP内部供給に留まったことが原因だ。価格の先下がり期待感から買い控えをした中国需要家は年明けから一気に買い込みに走った。昨年末の価格の下落も同様の理由だ。

2017年上半期は中国以外の需要が弱かったものの、少なくとも世界中の38ものパルプ生産ラインでマシンメンテナンスを実施、2月から5月にかけて110万トンの減産となり(1800万トン/年生産の6%相当)需要弱を相殺した。メンテナンスを実施するパルプラインの内、主に北米の23ラインがBSKを生産し、その多くが4月に休転を行った。2月から5月の期間中にのべ50万トンのBSKラインが休転したことになり第二四半期までその影響は及ぶものと思われる。BHKは60万トン15工場(主に南米、中国、インドネシア)で休転した。

 大増産を控え需要は緩む

しかし中国需要家はBHKの輸入量が昨年末から急激に増え、ここにきて購買意欲に落ち着きが出始めている。

近い将来オキ工場のパルプも品質が安定し、第二ラインが本年度6月に稼働12月中旬に市販を始める為、世界的BHKの供給は過剰となる。さらには6-7月はパルプメーカーに主だった休転がない為、第4四半期は価格が崩れると思われる。ユーカリNBKPメーカーであるブラジルFibria社の新ライン(174万t/年)も9月には稼働を始める為(年内37万tの出荷)、2018年にBHK価格は急落する恐れがある。

APPのオキ工場2ラインが完成すればBHK年産280万t、BSKも昨年増設した新ライン(ブラジルのKlabin社、2016年3月から150万t/年、110ユーカリ、40パインのNBKPライン増設、IP社Riegelood工場のN材フラッフパルプ40万トン増産)及びその他北米Domtar社、Ashdown社もフル稼働で、伊藤忠商事出資のMetsa Fiber社の130万t/年(内NBSK 80万t)も本年度第三四半期には稼働を開始する。ベルラーシSvetlogosky社のNBSK 30万tも11月には市場に出てくると思われる。

また、April社は子会社であるAsia Symbol社のパルプラインを改造し中国向けDPの生産供給を強化する(姉妹会社sateri社のVSF生産用途供給)

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