韓国向け輸出新聞・雑誌古紙価格軟化 段ボール価格下落に連動

  ■ 韓国向け輸出新聞・雑誌古紙価格軟化 段ボール価格下落に連動

2021年12月5日

段ボール古紙輸出価格の下落を受け、高騰していた新聞・雑誌価格も軟化している。日本の新聞・雑誌古紙に高値を付けていた韓国製紙企業が価格を下げた事が要因だが、韓国国内の古紙回収方法や、製紙企業と問屋の関係も背景にある様だ。

従来の印刷用紙需要低迷に加え新型肺炎の流行により、新聞、チラシなどが不足している。日本に於いても例外ではなく問屋・メーカー在庫は共に、これまでにないひっ迫した状況だ。 特に新聞そのものの生産量も年々減少しており、20年の新聞用紙の生産量は206万トンで対前年比14・9%減。今年200万トンを割ると、1971年(昭和46年)以来で、50年ぶりの低い生産量となる。さらに新型肺炎によりチラシ・広告が減った事で新聞古紙に混ざるチラシも減少、広告が減れば新聞残紙の発生も減少する。生産量以上に原料となる新聞古紙の発生量は減少しているのが実情となっている。

かつて日本の新聞・雑誌古紙の向け先は中国が主で、2017~18年の古紙バブル期は30円台中盤以上の高値も見受けられた。中国が古紙輸入を禁止した後は価格が暴落し、雑誌古紙は1桁価格となったが、今年は韓国向けが増加し再度価格が上昇していた。 

韓国で新聞・雑誌古紙の価格が上昇した理由は、韓国国内でも段ボール古紙価格が上昇し新聞古紙の価格を上回っていたことが背景にある。  韓国の行政回収でも段ボール、新聞など古紙は分別して排出されるが、古紙問屋は同じパッカー車で回収に行くため結局混ざってしまい、古紙問屋での再分別が必要となる。  段ボール価格が高くなりすぎると、古紙問屋は新聞・雑誌を分別せず、高く買ってもらえる段ボールに混ぜて販売するため必然的に新聞、雑誌の発生量が減ってしまう。 さらに製紙企業に納入される古紙の品質は非常に悪く、製紙企業側も必要以上に水分引き(10~20%)を入れる為、製紙と古紙問屋の関係は決していいとは言えない。そういった背景が韓国の製紙企業が安定的に品質の良い古紙を購入する事を難しくしている。

韓国製紙企業は国内の古紙不足を受け、日本の新聞・雑誌・シュレッダー古紙など高値をつけて買うようになり、10月時点で新聞古紙 CY28.0~28.5/kg、雑誌古紙(OMG)はCY24.0-24.5/kg 、シュレッダーも20円近い価格まで上場していた。

しかし11月に入り、あまりにも高くなりすぎた輸入新聞古紙では採算が合わず、購入を見合わせるようになった。 また段古紙価格が大きく軟化した事を受け、古紙問屋が段ボールから雑誌と新聞を分別し始め、入荷量が増加した事も価格を下げる要因となっている。

段古紙価格の軟化は年明け旧正月付近まで続くと見られ、韓国勢の新聞・雑誌購入価格も現在の価格より3~4円程度軟化するのではないかとみている。

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