王子ホールディングス 三菱製紙の株式33%を取得 筆頭株主に

  ■ 王子ホールディングス 三菱製紙の株式33%を取得 筆頭株主に

2019年4月15日

製紙国内最大手の王子ホールディングスは6日、100億円を投じ、三菱製紙の株式33%を取得、持ち分法適用会社にすると発表した。 また業務提携契約を結ぶことにより原材料の共同調達のほか生産拠点の再編を検討する。 三菱製紙は大王製紙あるいは他大手との合併で王子製紙に対抗する第三極勢力を作る動きがあったが、王子製紙との合併で日本製紙との二大構図は続きそうだ。

王子ホールディングスは現在三菱製紙に2.3%出資しており、これを33%までに引き上げる。三菱製紙が実施する第三者割当増資を76億円引き受け23%の株式を取得、残りは三菱商事など関連企業の所有する株式を買い取る。

当初の提携契約では、三菱製紙のドイツ子会社、三菱ハイテクペーパーヨーロッパGmbHの全株式または一部株式を、王子HDに譲渡する案が盛り込まれていたが、これは実施しないこととなった。

 業務提携契約は、生産、販売、原燃料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発および間接部門など、すべての事業分野を対象としており、OEM生産委託や19年4月に新工場(ティッシュなどの家庭紙)、木質燃料を燃やすバイオマス発電所を青森県で稼働させる。今後期待できる収益改善効果として、王子HDでは営業利益37億円以上、三菱製紙では営業利益25億円以上を想定している。

情報用紙や印刷用紙などの国内需要は減っており、生産能力の再編、集約なども視野に入れており、また王子の北海道製造拠点として三菱製紙の所有する八戸港倉庫を活用する案なども噂されている。

 青森県八戸工場の木質バイオマス発電所

三菱製紙の青森県八戸工場内に、約240億円を投資し出力7万5000kW、年間発電量5億3000万kW時の発電事業会社「エム・ピー・エム・王子エコエネルギー」を設立。出資比率は、王子側が55%、三菱製紙が45%。

燃料となる木質バイオマスは、青森県内の山林等から調達するが、王子グリーンリソースが開発しているPKS(ヤシガラ)燃料と、一部、石炭も投入する。石炭は、高温燃焼を維持するためで、燃料全体の1割程度の見通し。発電所を工場内に設置する三菱製紙が施設運営を担い、王子側が燃料調達を担当する役割分担だ。

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